Prologue
その昔,この世界は《精霊術》と呼ばれる力があった。
精霊術は人々に見えぬ力で時に人の心に安らぎを与え,
時に弱者に力を与え,
時に悪しき心を祓った。
人々がその力に気づかないまま,時は流れ1945年。
ついに精霊術を自由に操れる人間が現れ,多くの人々を苦しみから救った。
人々は彼らを《霊術師》と呼び,慕った。
しかし,技術の進歩により,1956年ついに精霊術が自由に機械を通じて使用できるようになった。
そのため精霊術の力に乱れが生じ,次々と霊術師が謎の病により命を落とした。
1976年,1人の大霊術師マーリンがこの事態に恐れ,人間と霊術師の大戦争を起こす。
マーリンは嵐で作物を荒らし,炎で命を焼き尽くした。
戦況は霊術師たちが優勢…かに思えた。
しかし人間の力は凄まじく,精霊術を巧みに使い,ついに霊術師は滅亡した。
「・・この子だけは…守らないと…」
一人の霊術師が小舟に子供を乗せる。
(もう霊術師も残されていない,じきに我々も負けてしまう。そうなればこの子も危ない…)
「ごめんね。母親らしいこと何一つしてあげられなかった。
いい男の人と出会って幸せになりなさい。」
そう言って彼女は小さい子が乗る小舟を押した。
今,壮大な歴史の幕が上がる。