第1章3話
あれから更に3年が経った。
この3年の間に父は魔道具の開発で功績を残し陞爵を受け侯爵となった。
俺は9歳となり今日はスキル授与の日だ。
スキルとは全世界の9歳の子供に神から与えられる贈り物と呼ばれている。
スキルの種類は
コモン・レア・ユニークの3種類に別れている。
俺の家族のスキルはこうだ
父ルドルフ【並列思考】レア
義母サマンサ【浮遊】レア
長男クロウ【雷】ユニーク
次男バルク【縮地】レア
長女サラ【未発現】
と見事にレア確率が高い事が伺える。
基本的にユニークスキルは強力だ。
クロウ兄様は雷化出来るので近接戦闘も遠距離戦闘をこなせる。
3歳年上のバルク兄様はあまり関わりが無いけど(避けられてる)縮地を使って近接戦闘で今学園でも好成績を残している。
父の並列思考は魔術の並列起動を他の魔術師達より簡単に出来るので讃えられてる。
義母のサマンサはバルク兄様とサラの母親だ。
浮遊のスキルは風魔術と組み合わせる事で空を飛ぶ事が出来る優秀なスキルだ。
スキル発現の確率は
ユニークスキルが1万人に1人
レアが1000人に1人
その他はコモンだ。
家族の優秀さがよく分かると思う。
ん?俺の母親?俺を産んだ時に亡くなったらしい。
クロウ兄様が良く優しい人だったよと教えてくれる。
「アロウ準備は出来たか?今日は貴族や王族も将来の相手の見定めとしてスキル授与を見学しに来る。失礼のないようにな」
「はい!父上」
そうこのスキル授与は貴族の中では婚約者探しや派閥争いの優劣を付ける等の結構ドロドロした部分がある。
まぁ将来安泰の様なユニークスキルが出た家を取り込んだり、傘下に入ったりと近付く相手を見定めるのだ。
父は既にクロウ兄様のユニークスキルのおかげで派閥を組めている。
侯爵ともなれば普通の貴族位だけで派閥は組めるだろうけどね。
俺は父と一緒に馬車に乗りザジス王国王都の教会へと向かった。
この世界の宗教は基本的に2つある。
1つは主神ラダを崇めるラダ教
もう1つはスキル授与をしてくれる女神テラスを崇めるテラス教
創造神ラダを崇めるかスキル授与で関わりのある女神テラスを崇めるかの違いだ。
世界の7割はラダ教らしい。まぁこれは人族のみの話だ。
この世界の神は
主神ラダ(創造神)
破壊神ダラク
魔法神マギカ
武神アレク
地母神マナ
天神スカー
スキル神テラス
の7神居る。
亜人と言われているドワーフやエルフ、獣人や魔族は別の神を主神として崇めている。
そんな事を考えていると教会に着いた。
他にも貴族の子女や商人の子女が居ることからこの教会は多分上流階級向けのスキル授与式典会場なのだろう。
さっきから父は貴族や商人達からの挨拶に忙殺されている。
仕方ないので父に一言声をかけてから俺は受付に向かうとしよう。
「お話中、申し訳ございません父上。僕は先に受付しに行こうと思います」
「アロウすまんなしっかり頼んだぞ」
そう言うと周りがざわついた。
『おい、あれが噂の神童か。うちの娘と同い年とは思えん聡明さだ』
『クロウ様に続いてユニークスキル2人目が出てもおかしくなさそうだぞ』
『ガード侯爵家にはもう少し寄り添っておくか』
等コソコソと話している
んー、俺としてはあまり期待して欲しく無いんだけどな。
期待されるとスキルがコモンだったりしたら逆にガッカリされるじゃないか。
と思いつつ俺は受付に向かいアロウ・ガードが教会に着いたと報告をする。
教会の人の案内により、控室に向かった。
そこには数十人の子供達で賑わっていた。
こういう所は苦手なので隅の方で待つことにした。
15分位経った後、1人ひとり呼ばれスキル授与が行われるらしい。
俺は第3王女殿下の前で最後から2番目だ。
こういう式典は貴族位が高い程最後になる。
つまり同い年に公爵家の人は居ないって事になる。
ついにその時は来た。
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