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第98話 双子

担任が元軍人だったこと以外に驚くところはなかった。

 ちょいちょい位の高い貴族がいるぐらいだが、成績は平民の方が比較的よさそうだ。

 つまり、位の高い貴族たちはみんなわがままお坊ちゃまという感じなのだ。


「それでは今日はここまで! アシム! 明日は遅刻するなよ!」


入学初日は午前中で終わり、明日からの確認と自己紹介で終わった。


「初日はこんなもんか」


「そうだな、帰るか」


ユーリと一緒に帰ろうとした時、誰かに声をかけられた。


「アシム様!」


「ん? 君は?」


ショートカットの小麦色の肌をした女子だった。


「わ、私! アシム様のファンなんです!」


「ファン? とりあえず、同級生なんだし様づけはやめてもらえるかな?」


使用人に様づけされるのを未だにむず痒く感じているアシムは、同級生の様づけは本当にやめて欲しかった。


「え、えっと、じゃあ、アシム君?」


「それで頼むよ。それで君の名前は?」


「ライアといいます!」


「ライアか、これから同じクラスみたいだしよろしくね」


アシムが握手をしようと手を差し出すと、ライアは顔を真っ赤にした。


「あ、え、ど、よ、よろしくお願いします!」


言葉とは裏腹に、アシムの手は宙に浮いたままだった。


「ライア! 握手しなよ! 好きなんでしょ!」


「す! マイアの馬鹿!」


ライアの後ろに隠れていたもう一人の女の子が出てきてからかってきた。


「まあ取り合えずよろしく」


アシムはライアの手を自ら握った。


「あっ!」


ライアは顔を真っ赤にした状態で固まってしまった。


「それで、君は?」


ライアに瓜二つな女の子に自己紹介を求める。


「あれ~! さっき自己紹介したのにな~! 覚えててくれないんだ! 悲しい」


泣きまねをしているが、完全にこちらをおちょくっている。


「ライアの双子の姉マイアだろ?」


隣からユーリがフォローを入れる。


「お前よく覚えてるな! クラスの自己紹介なんて、ただの儀式だろ」


「何を言ってるんだ? 自己紹介なんだから名前ぐらい覚えろよ」


「すまん聞いてなかった」


アシムは素直に謝る。

 アシムにとって初日のクラスは、ただのイベントのようなものだった。


「名前を憶えてないなんて酷いな~、これは何か償ってもらわないといけないな~」


マイアが何かを言い始めた。


「マイア! アシム様は貴族なんだよ! そんなの失礼だよ!」


「君」


ライアがまた様づけになっていたので修正する。


「そうだな、じゃあ謝罪も込めてこの後のお昼ごはんご馳走させてくれよ」


「え! 奢ってくれるの!」


アシムはマイアが本気で言っているわけではないのを感じ取り、こちらと交流を持ちたいのだろうと予想をして、お昼に誘ってみた。


「ああ、流石に自宅にご招待とはいかないけど」


「ご馳走様です!」


「あ、あ、アシム様と食事」


活発な印象を受けるマイアと、大人しそうなライアの双子と昼食を共にすることになった。

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