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第73話 闇組織or私兵団

アシムは豪華な部屋でもてなしを受けていた。


「アシム様、お注ぎいたします」


「あ、ありがとう」


綺麗なお姉さまに面倒を見てもらい、むさくるしい男が目の前で土下座をしている。


「何卒ご容赦を!」


なぜこうなったか理解はしている。

王家、多分シャルルが気を利かせてくれたのだろう。

アシム的には王家にばれる前に禁書を回収したかったが仕方ない。


「そう言われても、家族を襲った奴を簡単に許せると思う?」


綺麗な女性にお世話をされて嬉しいが、不快でもあった。

自分の身内が危険な目にあったのに、これで手打ちにしてくれと舐められているようだった。


「それに関しては私の監督が行き届かなかった責任でもございます! この身にできることなら何でも致しますのでどうか!」


必死の懇願である。

ここまでお願いされれば少しは不憫に思ったりはするが、それとこれとでは話が別である。

落とし前はキッチリ払ってもらわなければならない。


「責任を取るのはお前一人か?」


「アシム様が望むのであれば、私のできうる全てで償いたいと思っております」


「それは組織の長としてもか?」


「無論でございます!」


いかにも裏の人間ですというような風貌と言葉遣いに違和感があるが、必死なのは伝わってくる。


「そうか、しかし僕の家族を狙った”敵”を許すつもりはない!」


アシムはこの長が使えるか見極めることにした。

このまま言葉通り受け取るならそれまでだ。


「”敵”になるつもりはございません! 過去がそうであっても、これからは”味方”でありたいと思っております!」


「ほう」


アシムは感心した。別に自分が頭がいいと思わないが、言葉から相手の望んでいることを敏感に感じ取り、交渉を行える人はなかなかいない。


これが闇組織を束ねる長である所以かもしれない。


「”味方”になると言っても襲ってきた相手と肩を並べられると思うか?」


「肩を並べるなど滅相もございません! 許していただけるならアシム様の下につかせていただきたいと思います」


「どういった形で?」


貴族の下につくという形はふた通りに別れる。

闇組織としてズブズブの関係になるか。

私兵団として公の組織になるか。


「アシム様の思うがままに」


完全服従を誓うらしい。

闇組織として抱え込むのも魅力的だ。

後ろ暗いこともさせられるが、バレタとき失脚間違いなしだ。

なので、もみ消せる力がないと闇組織として抱え込めない。


私兵団として抱え込んでも今まで通り縄張りの支配は続けられる。

貴族の私兵団としてなので、悪いことは一切できないが評判はうなぎのぼりになる。


「わかった。なら僕の私兵団として下につけ!」


「は!」


「問題のある兵の処分はお前に任せる! 団長として励め!」


「ありがたきお言葉!」


アシムが抱え込むということは、実質の手打ちだ。


「それじゃああれを貰おうか!」


アシムは手をワキワキさせながらそれを要求した。




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