第7話 夕食
「エアリスは来年学園に入学だが心配なさそうだな」
8歳から初等部に入学する予定だ。
「はい、初等部では自分の力量を計りたいと思います」
貴族ともなるとその年齢までに家庭教師を雇い、初等部の教育を終わらせている。
しかしサルバトーレ家は平民のため、クラスが平民クラスに分けられる。
「うむ、よい仲間を見つけるのだぞ」
初等部では学ぶというより、仲間を作ることが目的だ。
「しかしエアリス、苦手な魔法も頑張った方がいいのではないか?」
父も学生の頃は、魔法がダメで苦労したのだとか。
「卒業できるレベルにはなっていますので大丈夫です」
「そうか」
勘違いしないでほしいのは、今の会話はサルバトーレ家基準ということだ。
姉エアリスはすでに、高等部並みの魔法を扱えており、なんら心配はない。
「アシム!」
突然自分に話を振られビックリした。
「お前、今日の剣術はどうしたんだ? 見違えるようだったぞ」
褒められている。
「ありがとうございます、自分なりに工夫を凝らしました」
「工夫?」
「はい、相手の動きを見て考えて動くようにしました」
「なるほど、確かに今までのアシムは自分の身体能力に頼って振り回していたな」
「はい、なので姉上の動きを見て自分も動き方を変えました」
「アシムにずっと見られてたのね……」
エアリスが頬を染めている。
「それにしても良い反応だったな、流石私の息子だ」
父に褒められると素直に嬉しい。
夕飯も終わり、部屋から退室しようとしたら父に呼ばれた。
「アシム! 話があるから私の部屋に来なさい」
「はい」
素直について行く、多分朝の魔法の件を先生から聞いたのだろう。
「座りなさい」
「先生」
父に座るよう促された、部屋には先生も待機をしていた。
「何で私がいるかはわかるね?」
「はい」
これで確定した、魔法の話だろう。
「朝の魔法だけど、あれは神聖魔法と言ってとても危険な魔法なんだ」
「神聖魔法ってあの?」
「そう、おとぎ話に出てくる神をも殺したとされる魔法だよ」
とんでもない魔法だ、これから確認をしようと思っていたので慎重に扱わなければならない。
「本当は、5歳の子に使わせていいものではないんだけどね、まぁサルバトーレ家だから心配はしてないよ」
サルバトーレ家の子供は、幼いころから強い力を持っていることが多い。
なので、そこの教育は徹底されているのだ。
「私からも言うことはいつもと同じだ。力に溺れるな、足を掬われるぞ」
「はい、承知しております」
サルバトーレ家は強いといっても、不死ではないのだ。幼い頃から、上には上がいることを叩き込まれる。
「明日からの授業だけど、アシムは時間を多めにとろう。休憩が少なくなるけどいいかい?」
「大丈夫です」
今日もひと眠りするぐらいの休憩時間はあった、正直長い休憩なので問題ない。
「うむ、では明日からも精進するように」
父のその言葉を最後に話は終わった。
自分の部屋に入り、呟く。
「今夜から頑張らないと」