第67話 サルバトーレ家襲撃③
「あなたが何かしたのですか?」
エアリスが目の前に現れた女に問う。
「あなたに喋ると思う?」
といいつつも女は楽しそうに‘‘本``をいじくり回している。
「それは!」
「あら知っているの?」
女は今の絶対的有利を楽しむように笑う。
「禁書……」
そう、あのデュラム家が使った禁書に似ていた。
細かい装飾などは違うものの、あの独特で嫌な力を感じる。
「そうよ~! 驚いた? 禁書を知っているならこれがどれだけ凄いかわかるわよね?」
「そうね、ちょっと‘‘面倒‘‘ね」
「面倒で済むかしら?」
女はエアリスの言葉を強がっていると捉えた。
「いいわ相手をしてあげる」
エアリスはそう言うと挑発するように手首を曲げて誘う。
「あら、余裕があるように見えないけど大丈夫~?」
女はにやりと笑うと、腰から下げていた剣を引き抜く。
エアリスも鍛錬の時に持っていた木刀を構える。
「眠かったらおねんねしてもいいのよ?」
お返しとばかりに挑発をしてくる。
「おばさん臭くて眠れないわね」
明らかに女の機嫌が悪くなった。
「子供は悪戯でなんでも許されると思ってるのかしら?」
「私にお仕置きでもするつもり?」
「ふふっ! そうね! お仕置きいいじゃない!」
「サルバトーレの子守りは甘くないわよ?」
「あら、じゃじゃ馬さんなのね!」
女は不意を突くように一気に間を詰めてきた。
しかしエアリスは女の踏み込みに合わせてバックステップを踏む。
「甘ちゃんね!」
女はその行動をみて、逃げ腰の動きだと思った。
それもその通り、後ろに下がってもそのまま間を詰めてしまえばいいのだ。
幸い女はスピードに自信があった。
しかし、エアリスは真後ろにステップを踏む。
「はっ! 甘ちゃんだね!」
そのまま突き刺すように剣を出す。
「サルバトーレは甘くないですよ?」
低く突っ込んだとはいえエアリスは子供、ちょっと膝を曲げるだけで簡単に下を取った。
それと同時に横へスライドする。しかしそれだけでは攻撃の範囲を脱することはできない。
女が勝ちを確信して嘲笑を浮かべる。
しかしエアリスの目的は攻撃を避けることでない。相手の側面を取れれば十分だった。
「流石に正面はきつそうなので!」
といっても女から見れば十分正面なのだが、エアリスとしては十分だった。
剣が間合いに入った瞬間、横から叩くように剣を振る。
正面からだと木刀が負けてしまうのは目に見えている。
「はっ!」
未だ剣の軌道上にエアリスはいる。力で押し込もうと勢いを殺さないでそのまま突っ込む。
しかし、次の瞬間女は地面に叩き伏せられていた。
「ガハッ!」
息が詰まるほどの衝撃に女は動けなくなる。
「甘ちゃんですね!」
女の記憶はそこでプツリと途切れた。
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