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第6話 デュラム家の息子

「では始め!」

「やー!」


小太りの少年が切りかかってくる。


「ぐぬぬ!」


最初は受け止めるが、何合が打ち合って負けてしまった。

武において名家に生まれ、同年代に敵なしの自分が負けてしまう少年。

そう、デュラム家の息子ゴドー君だ!


何故負けるかというと、別にゴドー君が強いわけではない。


まごうことなき、接待だ!

そもそもゴドー君は6歳で甘々に育てられている、強くなれるような教育は受けていない。

せめて、この鍛錬で鍛えれればいいのだが……。


「ゴドー! やはりあなたは天才ですわ!」


そうこのクソババアこと、ダリア・デュラム夫人が付きっきりで甘やかしているのだ。

故に、この鍛錬がいかに無駄な時間かわかるだろう。

子供の時間は有限なのだ、邪魔しないでほしい。


父もよく真面目な顔を崩さずやっていると思う。


「次、エアリスとアシム」


連戦だが問題はない。

この時ばかりはエアリス姉さんも気を使ってくれている。

恐らくだが、姉上も同じ気持ちでイライラしてるのだろう。


「お願いします」


だが、こちら側としては本気で戦う。

それだけ姉は強い。

ゴドー君に対して手を抜いているのをバレないかって? ゴドーや夫人が武術のことを分かるわけがない。


午前中は終始姉のペースだったので、せめて一矢報いたい。


「アシム! やるわね」


おっとりしている姉だが、戦っている時は凛々しい雰囲気を出す。

踏み込んで一気に押し込もうとしたが、嫌な予感がしてやめる。


「あら」


姉が残念そうな顔をする、やはりカウンターを狙っていたようだ。


「だけど、格上に攻めさせたらダメよ」

「しまっ!」


いつもだったら、姉に攻めさせないように猛攻を仕掛けるのだが、今この瞬間は姉の意図に気づいて辞めてしまった。


防戦一方になる。


「結構ねばるじゃない」


昨日までなら、早々に負けていたが今日は姉の狙いがよくわかる。

午前中に動きを見て、観察できたのが大きいのだろう。


「ここよ!」


姉が態勢を崩させるために、腰の部分を狙ってきた。


「くっ!」


このままでは終始ペースを握られ、終わってしまう。

ならば、と思い切った行動に出ることにした。


「これで!」


態勢を大きく崩されてしまうなら、そのまま回避する勢いを使って姉に飛び込む。


「っ!」


姉は虚をつかれたものの、流石の反応をする。

カウンターを喰らうのは避けられないが、こちらが先に攻撃を当てれば勝ちだ。

お互いの剣が交差する。


「ふぅ、危なかった。私の勝ちね」

「くそっ」


剣は俺の腕に当たっていた。


「だけどアシム、午前中とは大違いね」


しかし俺の剣は姉、エアリスの首元に添えられていた。

そう、首は危険すぎるので狙いを外す他なかったのだ。


「夢中でやってたので余裕はないですよ姉上」

「ふふ、逞しくなったわね」


姉から優しい眼差しを受ける。


「よし、今日はここまで!」


父親が終わりを宣言し、鍛錬は終了となる。

この後は座学を学び、1日のスケジュールが終わる。


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