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第53話 逮捕

「これは! どういうことですか?」


「奴隷商ネルソン! あなたを違法奴隷作成の容疑で身柄を拘束します!」


「なんの証拠があって!」


「王命が出ております!」


リーゼロッテが王命の書かれた書類を取り出す。

ネルソンは信じられないという表情をしている。


午前中のうちに調べ終え、王命まで出す素早い対応だった。


(クソッ! 誰だ裏切者は!?)


いまだ奴隷が連れ去られた報告は入っていない。

アシムの偽装が効いていたのだ。従業員が確認するのは戸締りがきちんとなされているかで、人数までは確認していなかった。


故にネルソンは、内部の人間のリークではないかと考えている。


(モーリス一家に助けてもらうしかないか)


現状できることはそれだけだった。

奴隷商は国王の任命あってこその職業だ、無罪となれば権利を剥奪されることもない。


(帰ってきたら従業員を一新しなければな)


裏切者を見つけ出すのは難しい。証拠を残したとしても、既に逃げ出しているだろう。

ネルソンは王命を受けた騎士団に大人しく従い、連行された。





「何? ネルソンが捕まっただと?」


ユルゲンは面倒なことになったと、不機嫌になる。


「わかった。すぐ交渉しろ、なんとしてでも無罪にしろ!」


部下にそう命じると、ユルゲンはあの酒場とは別の建物に入る。

中に入ると、遊郭独特の甘い香りに包まれる。


「あらユルゲンさん! 遊んでいかれますの?」


遊郭の女に声をかけられる。


「いや、兄貴を呼んでくれ」


「あら、ちょっとぐらい遊んでもいいんですよ?」


「早くしてくれ!」


ユルゲンはイライラが溜まっていたのもあってつい声を荒げる。


「ちょっと待っててくださいね」


女は気にした風もなく、奥に引っ込んでいった。

しばらくすると、女が現れ部屋へ案内された。


「ユルゲン! 遊んでたのによ水を差しやがって! 重要な用なんだろうな?」


部屋へ入ると、明らかに不満を溜めたようなガラガラな声が聞こえた。


「奴隷商が捕まった」


兄貴と呼ばれている人物の顔が真剣なものに変わった。


「違法奴隷か?」


「ああ」


「国王は俺達と知ってやったのか?」


「分からないが、‘‘無視できない何か‘‘があったんだろう」


「他の一家か……」


兄貴と呼ばれている人物は、他の一家との抗争を思い浮かべたようだ。


「もしくは裏切り者がいるか!」


「心あたりがあるのか?」


「ない。ただ奴隷を調達してから、逮捕まで時間がかなり短かった」


「なるほどな。取り合えず裏切りの線と、他の一家への探りを入れてみろ」


「わかった。奴隷商はどうする?」


「もちろん助けろ。奴隷商は貴重だからな」


そう言うと、兄貴と呼ばれている人物はお店を出ていった。

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