第34話 サルバトーレ家の現状評価
シャルル姫はお風呂の後の、ティーを自室で楽しんでいた。
「リーゼ、最近はどう?」
「と、言うと?」
「騎士団に、あの子の父親が入ってきたでしょう?」
「端的に言うと超人でしょうか?」
「昔とかわらず、凄い?」
「剣技だけで言えばやはり最強ではないかと」
「剣技だけ?」
「魔法などを含めた戦闘となると、息子の方がもしかしたら……」
「6歳でその域に……いえ、一生かけても凡人には到達できない場所に、年齢は関係ないのかしら?」
「我々には到底理解できかねますね」
「ふふ! そうね。それで、アダン・サルバトーレは王国の要になれるかしら?」
「間違いなく! ドラゴンの討伐は無理でも、人間相手ならば一騎当千でしょうね」
「ドラゴンと比べるのは酷でしょう? そもそもあの分厚い鱗を突破できないのですから」
王国として、ドラゴンの討伐は何度か行われたことがある。
しかし、結論は‘‘無理‘‘となった。
「比べる対象が他に思いつかなかったわ」
「そんなに凄いの?」
「ええ、貴族に嵌められたと聞いて、考える方は弱いのかと思っていたけれど」
「優秀だったと?」
「少なくとも、部隊を指揮する能力は優秀ね」
「サルバトーレ家の姉妹もいたわね」
「ええ、サルバトーレ家は没落してから、全く情報が入ってこなかったからわからないけど、この分だと」
「優秀である可能性が高いわね、是非ともサルバトーレ家には結果を出してもらわないといけないわね。」
一度没落したというだけでもかなりのマイナス面だが、是非とも活躍してもらい、王国の益となってもらいたい。
「そうね、今何も成し遂げられていない状態で、抱え込むと貴族の反発が凄いでしょうから」
「そうね」
昔の活躍があったとはいえ、没落の烙印はそれだけ重いということだ。
「サルバトーレ家から何か要請があったら、できうる限り受けるのよ?」
「もちろん! 売れる恩は最大限に売ってみせますよ」
「ふふ! 頼んだわね」
「お任せを!」
二人でそんな談笑をしていると、窓の方から音がした。
「シャルル様! 下がって下さい!」
リーゼロッテのスイッチが戦闘態勢に切り替わった。
「何者?」
一国の姫の窓に、石がぶつけられたのだ。
リーゼロッテが傍に置いてある剣を手に取り、窓に近づく。
「気をつけて!」
リーゼロッテは集中しているのか、窓を見ながらゆっくり近づく。
窓までたどり着いて、まずは外を覗き見る。
「お前は!」
何を見たのか、リーゼロッテはそのまま窓に手を掛けて開ける。
「リーゼ?」
何を見たのか、シャルル姫にはわからないので、不安になる。
「何の用だ! わっ!」
なんと、開けた窓から人が入ってきた。
リーゼロッテにぶつかると思いきや、窓枠を蹴り、上手く躱す。
「こんばんは! シャルル姫!」
丁度話のタネになっていた子供。
アシムが入ってきた。





