第28話 アイリス先生
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「お兄様がいないので、今日もお庭で遊ぶのです!」
アイリスは、午後は家で、先生と二人きりになるため、庭で時間を潰すのが日課になっていた。
「今日は、お人形さんたちで競争です!」
日に日に人形の動きに、多様性がでてきているが、アイリスの指揮下を離れると、いまだ一つの命令しか実行できないでいた。
人形たちで、五重塔を作り、それを上り下りさせていると。
「誰ですか?」
アイリスは首を傾げる。
「ご、ごめんなさい! 覗く気はなくて……」
アイリスが声をかけると、生垣の向こうから人が入ってきた。
「お名前は?」
その人は、アイリスと同じくらいの大きさの女の子だった。
「マリア」
「マリア? 私はアイリス! 一緒に遊ぼう!」
アイリスは、遊び相手を見つけたと喜んでいた。
「あ、遊ぶ……これ?」
土でできたゴーレム達を見て、不安な顔をしている。
アイリスは、兄に言われたことを思い出す。
「大丈夫! 私が魔法教えてあげる!」
アシムはアイリスに、普通の平民は、学園に入るまで魔法を習ったり、勉強したりができないことを教えていた。
「ええ! 本当に? いいの?」
「うん」
前の領地では、デュラム家にできるだけいるようにされていたので、同い年の子とほとんど遊んだことがない。
「じゃあ、魔法って使ったことある?」
「ない」
マリアは、申し訳なさそうにする。
「じゃあね、この土が石になる想像をしてみて?」
「石?」
「そう、これみたいな石」
アイリスは、想像しやすいように、石も一緒に並べる。
「やってみる!」
マリアは、目を閉じて、眉間にシワを寄せる。
「ん゛~!」
唸り声が可愛い。
「できた?」
「う゛ん!」
「それじゃあ、アイリスの言うことをそのまま言ってね!」
マリアは集中しているようで、コクリと頷く。
「大地の精霊よ、その力を我に示し給え! クレイストーン!」
マリアが復唱する。
「大地の精霊よ、その力を我に示し給え! クレイストーン!」
すると……
「え、ええ!」
「出来たね!」
なんと、マリアは初挑戦で土を石に変えた。
「大丈夫?」
驚きと興奮でマリアはいっぱいだったが、アイリスがマリアを心配する。
「なんか、顔色が悪いよ」
「え?」
言われてみると、気分が悪いみたいだ。
「ちょっと気分が……」
マリアは急に体調が悪くなり、しゃがみ込んでしまう。
「大丈夫? ちょっと中で休もう」
アイリスは、マリアを連れて家の中へ入る。
「ここ私の部屋だから」
マリアを自分の部屋に寝かせる。
「ありがと」
そういうと、マリアはすぐに寝てしまった。
「後で、父上とお兄様に聞かなきゃ」
アイリスは、自分が教えた魔法が原因だろうと、わかっていても判断がつかなかった。
「あ! そう言えば、先生が魔力枯渇を起こすと、体調が崩れることがあるって言ってた」
予想はたったが、その時の対処法は休むこと、と聞いていたため結局アイリスにできることはなかった。
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