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第27話 休憩

アシムは、立ち尽くす。


「ここって」


繁華街のお店のなのだが、その繁華街が問題だった。


「遊郭じゃねぇか!」


男の性か、ついつい声が大きくなってしまう。


「どうするか」


大人なら、歩いていても大丈夫だが、子供は間違いなく追い出されるだろう。


「演技するか……」


アシムは、悪戯を思いついたような子供のように、ニヤリと笑みを浮かべた。

子供だった。


「すいませーん!」


お店が、繁華街の手前だったこともあり、誰かに注意される前に辿りつける。


「はーい、まだ開店……僕? どうしたの?」


「お姉ちゃんに、待ってるように言われたんだけど、喉乾いちゃって!」


「お水が欲しいの? あ、そうだ! お菓子もあるから、お店の中でお姉ちゃん待ちな」


対応してくれた女の人は、腹や、肩、胸元が開いている。露出度の高い服装だった。

知識がある分興奮するかと思ったが、やはりまだ子供か、興奮と言える興奮はしなかった。


お姉さんが店の中に招いてくれる。

待ち合わせ場所にいないと、架空の姉が迎えに来た時困ると思うが、まぁ都合がいいので黙っておく。


「おい! エリゼ! この子の面倒みてやりな」


「あ、はい」


なんと、中にはユーリのお姉さんがいた。


「お茶とお菓子持ってくるから、待ってな」


そう言うと、お姉さんは部屋を出ていった。


「君、名前はなんて言うの?」


「アシム!」


「アシム君ね、私にも同じ年ぐらいの弟がいるのよ」


「へぇ~、どんな子なの?」


「あら、興味あるの?」


「お姉さんみたいな綺麗な顔してるの?」


「あら、お世辞が言えるのね、ふふ。」


エリゼは柔らかく笑う。


「そうね、男の子だからあんまりそう言われたくないだろうけど、とっても可愛いのよ」


うちの姉と同じく、弟大好き臭がしてきた。


「へぇ、名前は?」


「ユーリ、て言うのよ」


「へぇ」


「とっても足が速くてね、同年代の子には負けないのよ」


「僕も速いよ!」


「あら、それじゃあ今度競争しましょう」


「いいよ!」


本人のいない所で、勝負の約束が交わされる。

アシムは当然、話の流れで言っているだけで、本当に勝負するとは思っていない。


「でもね、最近ユーリが居なくなるの」


「居なくなる?」


「そう、夕方には帰ってくるんだけどね、なんか外で働いているみたい」


「働いてるなら、居なくなるの普通じゃない?」


「でもね、仕事の内容は教えてくれないし、帰ってくる時間とかバラバラなの」


「突然家から居なくなるの?」


「そうなの、私が起きる前にいない時もあるし、いつの間にか居なくなってる時もあるの」


十中八九スリの仕事だろう。


「遊びに行ってるとか?」


「ううん」


エリゼが首を振る。


「お金を持ってくるから、働いているとは思うの」


「そのお仕事が分からないのが不安なの?」


「あら賢い子ね、そうなの、聞いても教えてくれないからどうしようかと思ってるわ」


「なら、僕が聞いてあげようか?」


「君が聞くの?」


「うん! 同い年だったら友達になれるし!」


「あら、それは素敵ね、ユーリは友達を家に連れてこないのよ」


もしかして、ボッチと思われているんじゃないだろうか?

(お姉さん! 心配しないで! 少なくとも二人の悪友はいるから!)


「うん、今度遊ぼう!」


「そうね、遊びましょう!」


「お家に行っていい?」


「ええ、良いわよ」


「やったー! じゃあお家教えて!」


既に知っているが、一応聞いておく。


「ちょっと待ってね」


紙を戸棚から取り出し、何かを紙に書きこんでいる。


「はい、これ」


それは、ここのお店からユーリの家までの道のりだった。




お読みいただきありがとうございます!

次話より、1000文字投稿になります。

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