第23話 スラム街
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「アイリス今日はこのぐらいにして、午後街に出ようか」
「やったー!」
貴族に任命されたあと、特に何も変わってはいない。
サルバトーレ家は男爵位を授かったが、どこかの街の統治に関わったり、男爵以上の貴族の元で働いたりもしていない。
父は無事、騎士団に入り実力を示しているらしい。
アシムは、普通は男爵家の嫡男という立場だが、准男爵という立場も持っている。
何が変わるかというと、貴族同士の挨拶をしっかり行うぐらいだ。
准男爵はいわば、名誉もしくは、貴族社会へ入る準備期間として見られている。
午後になり、アイリスと一緒に出掛ける。
「アイリス何食べたい?」
街のお菓子屋や、アイリスにアクセサリーを買ってあげたりした。
もう帰るとなったときに、ふとスリをしている人を見つけてしまった。
「アイリス! ちょっとお兄ちゃんは用事があるんだけど、1人でお家まで帰れる?」
「うん! 大丈夫!」
家も近いので、アイリスには先に、帰ってもらうことにした。
スリをした人を追いかけるが、ふと気づく。
「あ、僕が返しに行ったらスリの犯人になっちゃうな」
先に、スられた人の元へ行く。
「すみません!」
「ん? どうしたんだい僕? 迷子かい?」
恰幅のいい、おばさんだ。
「おばさん! 遠くからしか見てないから、よくわからないけど、ポケットからなにか取られてましたよ?」
「え!」
おばさんは、慌ててポケットを調べる。
「本当だね! どんな人が覚えているかい?」
「フードで顔は見えなかったけど、小さい子供みたいだった」
「困ったね、私は今からお店の番をしなきゃいけないんだよ」
そう言うと、近くにあったお店を見る。
「あれ、おばさんのお店?」
「ああ、そうだよ。あきらめるしかないかね」
困り顔で、腕を組む。
「僕、教えてくれてありがとね、見つけてもしらを切られるだろうし、あきらめるさね」
そう言って、自分のお店の方に行ってしまった。
「そうは言ってもなぁ」
この際、諦めるしかなさそうだったが、気になるので追いかけてみることにした。
「ここかな?」
目視では完全に見失っているので、勘が頼りだ。
「人の気配がないな」
路地裏に入ると、人気が全くない。
「ということは、気配のある所まで探してみるか」
人気を感じないなら、気配を感じるところまで行けば、先ほどの人物である可能性もあるはずだ。
路地裏も結構長い、3軒分進んだところで、‘‘上‘‘に気配を感じた。
「シッ!」
フードを被った人物が、上から降ってきた。
「わっ!」
手に刃物を持っていたので、慌てて避ける。
「俺の後をつけているようだが、覚悟はできてるんだろうな?」
さっき見ていたのが、バレていたようだ。完全に待ち伏せされていた。
「たまにいるんだよ、正義面した子供がな!」
フードの‘‘子供‘‘はそう吐き捨てると、襲いかかってきた。
「お前も子供だろ!」
お出かけの恰好なので、護身用の短剣で対応する。
「小さいのになかなかやるじゃないか!」
さっきから、フードの子供は、自分の小ささを棚に上げている。
子供の素早い動きで、こちらを仕留めようとしてくる。
アシムは、問題なくそれらをいなす。
「お前、本当に子供か?」
「こっちのセリフだ!」
アシムは、武芸に通じているからわかるが、このフードの子供は明らかに強かった。
「お前! 色々気にはなるけど、取り合えず取った財布は返して貰うぞ!」
アシムは、素早く近づき、短剣で相手の武器を弾き、掌底をお見舞いする。
「くっ!」
フードの子供は、必死に回避行動をとり、何とか直撃を免れた。
「ゴホッ! 何だこの威力」
「財布は返して貰ったぞ?」
「なっ!」
アシムは、攻撃の為に手を相手に当てたのではなく、ポケットにしまってある財布を見事抜き取っていた。
「僕もスリの才能があるかもね!」
挑発するように、おどけて見せる。
「くそっ!」
フードの子供は、その挑発を聞かず、一目散に退散をした。
「ありゃ?」
挑発に乗ってくると思ったけれど、違ったようだ。
「まぁわざと逃がしたんだけどね!」
そうアシムは、わざと逃亡を許したのだ。
「追跡開始!」
バレない様に、フードの子供を追いかける。
戦ってみて、かなりの手練れだという事がわかり、追跡もバレない様に気を付ける。
路地を抜けると、スラム街に出た。
「王都でもやっぱ手が届かない所はあるんだな」
それもそのはず、王都と言えど、まだ開発の手が及んでいない所はいくつかあった。
「ここか」
相手が追跡に気づかず、ダミーの住処でなければ、根城にしているであろう建物にたどり着いた。
「人は……」
扉の横にピタリと着き、中の気配を探る。
「複数人いるな、ここは一旦様子見だな」
複数の人が出てきたことで、組織の可能性が出てきた。
アシムは、むやみに突っ込むことはせず、この建物を調べることにした。
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