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第182話 冷緑の森①

最悪だ。


森の中は澄んだ空気なのだが、王女を守るために展開している白薔薇の騎士団の空気が終わっている。


「あのエルディアってやつなんなの?」

「これだから集団行動出来ないハンターは嫌なのよ」

「やだぁ。湿気でべたつく」


エルディア一行は結局斥候という形で単独行動をとることになった。

それを知った白薔薇の騎士団員たちは、口々に不満を漏らしている。

これは恐らく長い行軍の末に溜まった疲労と、森の湿気が彼女たちの不快指数を増加させた影響だろう。


「リーゼロッテ副団長少しよろしいでしょうか?」

「なんだ?」


騎士団と俺たちはキャンプ地を確保し、騎士団が先に魔物狩りへ出かけた。

そして、今は俺たちサルバトーレ一行が交代で魔物狩りへ出かける番で、代わった戻ってきた騎士団は荷物番となる。


そこで、不快指数が上がってしまった彼女たちのためと、こちらの商売のために試してほしいという思惑で一つの商品をリーゼロッテへ持っていく。


「これを見てください」


テント外で話かけているので立ち話になってしまうが、これは一般団員にも聞いてほしいことなので、あえて皆に聞こえる場所を選んだ。


「これは……石鹸か? 色が白くて……香りがいい!」


リーゼロッテが驚いたような声を上げる。

俺が手渡したのは石鹸で、この世界にも普及している。

しかし、この世界の石鹸は匂いが臭く、あまり好まれて使われるものではなかった。

そこで、私兵団の中に研究部署を設立し、科学的な実験を行う専門家集団を作った。

今はまだ赤字操業だが、この石鹸を皮切りに化粧品などを開発し、主力商品として売り出したい。

そうなったあかつきには、サルバトーレ商会なるものを作るのもいいかもしれない。


「従来通り汚れをよく落とし、いい香りがほのかに残ります。これで体を洗えば、お風呂上りに香水を使わなくて済みますよ?」


この世界の女性はお風呂に入った後に香水を振りかける。

それも仕方ない。なぜなら、お察しの通りこの世界の石鹸は臭い。

恐らく香料が使われていないのだろう。


そこに着目した俺は色々な花を集め、それらを香料として石鹸に混ぜてみるということをやった。

最初は臭い匂いを完全に消すことが出来なかったが、そこは研究所の皆が試行錯誤を繰り返してくれて解決してくれた。


さらに! なんとこの石鹸に使われている成分は水にしばらくつけると溶けてなくなる環境にエコなものを使っている。

地球にはない油を使っているらしい。

異世界バンザイである。


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