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第181話 解離


「エルディア殿! 離れないでいただきたい!」

「大丈夫大丈夫! むしろ私たちが斥候として動くから気にしないでいいよー!」


 白薔薇の騎士団の一人がエルディアを注意するが聞く耳を持たないようだ。

 それもそのはず、エルディア一行はあえて離れているように見える。

 それに人数が少ない分、騎士団と一緒にいると動きづらそうだった。


「全く……アシム殿からも言ってはいただけませんか?」


 騎士団からは完全に嫌われたであろうエルディアだが全く気にした様子は見られない。

 なので出発前にエルディアが親しく話しかけていた俺に説得のお鉢が回ってきそうだった。


「一応出発前には言っておいたんですど……まあ僕が言っても聞いてくれないですね! はははっ!」

「笑いごとではありません! これではシャルル様をお守りするときにバラバラになってしまうではないですか」


 怒られてしまった。

 シャルル様を守るときにバラバラになってしまう……。

 恐らくそれで離れるのがエルディアの目的なので何を言っても無駄だろう。

 だがこれで一番杞憂だった騎士団とエルディア一行を引き離すことは解決しそうだった。

 その代わり騎士団に愚痴を零されることになったのだが。


「いっそのこと別行動にしてみてはいかがでしょうか? エルディア達はまだスピードを上げれそうですし先にキャンプ地を確保してもらえればそれまでの道のりも安全を確認できるので」


 この際本格的に斥候として働いてもらってはどうだと提案してみる。

 その方がお互いの精神衛生上いいだろうし、実際エルディア達が斥候として動いてくれればしっかりと働いてくれるだろう。


「しかし、それではいざ戦うとなったとき戦力が落ちてしまいます」


 確かにエルディア達の戦闘能力は非常に高い。

 恐らく本気を出せば騎士団以上であるはずだ。

 だが、それは騎士団単体では不安であると言っているようなものである。国王にも護衛として許可をもらっているのにそのような態度はいかがなものかと思ってしまう。


「確かにエルディア達は大きな戦力です。しかし彼女らはあくまで雇われの身。身辺護衛は騎士団のみで問題ないのではないですか?」


 ここで問題であると返して来たらシャルル姫にチクッてやろう。

 いや、副団長であるリーゼロッテの方が現場に近い分怒りそうではある。


「しかし……いや、アシム殿のいう通りですね! いっそのこと我々白薔薇の騎士団のみに護衛を絞った方が何かと動きやすいかもしれません。早速副団長へ進言してきますね!」


 納得してくれたようでよかった。

 この流れならサルバトーレ家も独自で動いて問題ないだろう。

 シャルル姫の護衛責任は副団長であるリーゼロッテが全て担っているだろうし。

 まあ、いざとなれば貴族として全力を尽くす必要はあるが、行動の自由度が上がったのはありがたい。


 現在は冷緑の森に入って数分の場所におり、キャンプ予定地となっている湖を目指している道中である。

 森に入ってからというものエルディア達は歩幅を合わせる様子はなく、どんどん先行していく一方である。

 サルバトーレ家はシャルル様の乗る馬車とエルディア一行のバランスを取るように間に入っていたが、それも限界を迎えていた。


俺の提案が無事リーゼロッテに通ったらしく、先ほどの女騎士が戻ってきて報告してくれた。

恐らくこのまま離れてしまうであろうエルディアに、一応伝えに行ってあげることにした。


「アシム殿、我々騎士団が伝令を出しますよ」

「いえ、僕から伝えたほうがスムーズにいくと思うので大丈夫ですよ」


ぶっちゃけ、大人数で行軍しているのが息苦しかったので、一度この集団から離れたかったのが本音だ。

それに、無用なトラブルなど起こされては面倒だったので、白薔薇の騎士にエルディアとあまり交流してほしくないのもあった。



お読みいただきありがとうございます!

次話から1話1000文字程度にしようと思っています。




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