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第16話 決戦前

「なるほど、私に後ろ盾になってほしいということなのね」


「はい、あくまでこちらは正当な手順を踏むだけです」


「相手が素直に応じるかわからないと」


「子供のやることです、いくらでももみ消せるでしょう」


「そんな! アシムはちゃんと借金を返すんだろ?」


「デュラム家は、サルバトーレ家に1,000金貨以上の価値があると考えているでしょう」


隣国と争いが起これば、各地の貴族が兵を出す。

反乱を起こせないように、数が絞られるため兵の質がものをいうのだ。


まぁ王国軍の数が多いため、貴族の私兵団はなかなか大きな戦いには参加しないのだが。

その中で目立った功績を立てたサルバトーレ家は、物凄いそれこそ国宝レベルの価値があるのだ。

それを上手くかすめ取ったデュラム家が易々と、手放すはずがない。


「君がサルバトーレ家というのもビックリしたが、まさかデュラム家に嵌められたとはな」


「ええ、国としては統治を失敗したサルバトーレ家を贔屓するわけにはいかなかったのです」


シャルルが言い訳をするように呟く。


「わかっていますよ! 国は武力だけでは成り立たない、政治の上手い貴族が権力を握るのもわかります」


「アシムは本当に5歳なのか?」


政治への理解力に驚かされる。


「サルバトーレ家なので」


「サルバトーレ家がいればこの国は安泰だな」


「お褒めに預かり光栄です」


リーゼロッテと冗談を言い合う。


「割と本気で言っているのだぞ? 5歳で1,000金貨を稼ぎ、政治にも明るく、戦いもピカイチときたらそれこそ国を背負ってもおかしくないぞ?」


リーゼロッテは冗談じゃなかったみたいだ。


「まずは自由になることから始めるよ」


「ああ、借金がある限り私たちでも手が出せないからな。そこを解決できるなら協力できるよ」


後ろ盾を得たアシムは勝利を確信する。


「それじゃあ、そろそろ戻らないと遅くなるから行くね」


「ん? 泊って行かないのか? コーデイルまで1日はかかるだろ?」


「サルバトーレなので。じゃあ失礼!」


シャルルとも挨拶をし、王城を出る。


「いざとなったらシャルル様が出てくるのかな? 流石に無理か」


一国のお姫様が直接関われるとは思えなかった。


「まぁ、お姫様がバックについてると知ったら流石にデュラム家も諦めるだろ」


暗くなる前に戻るため、急いでコーデイルに向かうのだった。


--------------シャルル姫side--------------


「シャルル様どうでした?」


「分からないわ、聡明な子としか」


「あとは実際に戦う所を見れば是非王家に迎え入れるべき人物だと確信できるでしょう」


「未だに婚約者が決まらない私に気を使わなくてもいいのよ? 5歳も離れているじゃない」


シャルル姫は現在10歳、アシムの倍生きている。


「5歳差以上の夫婦はいっぱいいますよ? それにあの整った顔、将来はいい男になるでしょう」


「まぁ、兎に角恩を返すのが先決だわ!」


「そうですね」


一人の友人として、心配をしている顔だった。


「大体、この前お父様が連れてきた男、私よりも10歳年上だったじゃない!」


「そうですね」


現在の有力貴族から選ぶとなると、どうしても年上になりがちだ。



優しい目で見つめながら、友人の幸せを願う顔がそこにはあった。



--------------アシムside--------------


「アシム――! どこ行ってたのよー!」


予定より遅く帰ってしまい、暗くなってから家に着いたのだが、姉の症状が悪化していた。


「もう離さないわ」


夕食の後、アシムの部屋に突撃してきたのだ。


「よしよし」


姉の頭を撫でてやる、今日もゴドーの相手を頑張っていたそうだ、好きにさせてやろう。

暫くすると、満足したのか顔を上げる。


「姉上どうかした?」


「そういえば今日ゴドーが、来週の王都へ向かう前日に大事な話があるって言われたの」


「婚約かな?」


「多分そう、最近しつこく言ってくるの」


「それは困ったね、王都にいければ暫くは大丈夫になるだろうけど」


「そうなのよね」


「ゴドーはそうなる前に、姉上を手に入れようと考えてるのかもね」


「困ったわ」


エアリスはまたアシムに顔を埋め、息を大きく吸う。


「でも、アシムが居てくれるなら私頑張れるわ」


エアリスは覚悟を決めたような顔つきになる。


「大丈夫だよ姉上、王都に向かうまでなんとか粘ってみよう」


「そうね、それしか無いものね」


「うん」


姉の頭を撫でながら、デュラム家がついに仕掛けてくるとアシムは確信した。





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