第118話 精霊の話
今、目をキラキラしながら魔法について語る精霊を見て若干引いている。
「凄い! 凄いよ! いや、この程度の爆発魔法は確かにあるよ? だけどだよ! 圧倒的に少ない魔力しか使っていないのにその威力は革命だよ! この魔法の使い方を覚えれば才能のない人間も、今の一流と呼ばれる魔法使いと肩を並べることだって出来るさ! ああ、でもその前の魔法制御が難しいのか……あ! でも少量しか魔力を使わないなら魔法制御に特化すれば、でもそうすると魔法量を増やすことが疎かになるのか、人間は子供の頃の期間が大事だからやはりそこは才能に頼らないといけなくなるか、でもこれが広がれば人間の使う魔法のレベルがあがるのは確かだし、そうすると今よりも面白そうだ……」
この魔法が精霊のおめがねにかなったようで何よりだが、独り言に結構重要な情報も混ざっている。
人間は子供の頃の訓練が重要になってくるということに確信を持っているようだし、このご時世の魔法レベルを正確に捉えているようだ。
ちなみにこの魔法は、水と高温の炎がぶつかることによって起きる水蒸気爆破を行っただけである。
水魔法を風魔法で水温を下げ、火魔法は魔力で温度を上げた、この魔力の部分を減らせればさらに魔法効率を上げることはできるが、それは今のところ難しいようだ。
「それで満足してくれたかな?」
「満足? ああ! 勿論さ! でも期待以上過ぎて、もっと君の魔法が見たくなったよ! 才能というのは魔法や剣術だけじゃなくて発想にもあるなんて……君には感謝してもしきれないよ!」
満足はできたようだが、余計めんどうなことになりそうだった。
「でも今回はこの辺りにしておこうか。約束は守らないとね! これ精霊の大原則だから”約束”!」
「契約者を作るから”約束”を大事にしてるのか?」
精霊のルールなど知らないので純粋に疑問に思ったことを聞いてみる。
「そこは秘密だよ! 流石に喋っちゃいけないこともあるからね」
「わかった。言えることだけ教えて」
当初の約束通り精霊について教えてもらうことにした。
「精霊って普段見ないけど、どこにいるの?」
「どこにでも居るさ! 精霊の国なんて素敵な場所なんてものはないよ?」
どこにでも居るということはどういうことなのだろうか。普段は認知出来ないが、空気と同じようにそこに居るということなのか。
「精霊というのはね、魔力みたいなものかな?」
「魔力?」
謎が増すばかりである。魔力にも意思疎通を取れる存在がいるのだろうか。
「えーっと、僕が言いたいことは精霊はエネルギーそのものだってことさ!」
上手い言い方をしたというようなドヤ顔で言われたが、何一つ疑問を解消してはいなかった。





