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第102話 派閥

「つまり、貴族は派閥を気にしながらグループを作るってこと?」


「そうよ、家格が上でも、実家が違う派閥の子をグループに入れるのはご法度なの」


子供とはいえ実家の状況で仲良くできる子は決まっているようだ。


「僕はどのグループになるのかな?」


ライアとマイアが互いに顔を向かい合わせる。


「なに?」


アシムは確実に何かある2人に問いかける。


「アシム君ってさ……」


一つ間をあけ、緊張した面持ちで聞いてきた。


「爵位貰ってるって本当?」


「え……そうだけど」


世にあまり知られていないはずの情報がまさかこの二人から出てくるとは思っていなかった。


「キャー! 貴族様と食事しちゃった!」


「うそうそ! このまま妾とかにされちゃうの!」


「第2夫人とかにされちゃったりして!」


双子の少女達はなぜか盛り上がっていた。


「ちょっ! 貴族なんて学園にいっぱいいるでしょ?」


「アシム君! 貴族様っていうのはね、爵位を持っている人のことをいうんだよ! 学園にいる貴族の子供はまだ何の権力もないのに偉ぶってるただの子供だよ!」


酷い言われようである。どうやら貴族のボンボンは嫌われているようだ。

 サルバトーレ家は、没落の時期のせいで貴族との交流が少なかったのだ。

 そのせいでアシムに貴族の友達はいない。派閥を強化するために、幼いころからの交流は親がさせるものだが、それのなかったサルバトーレ家はどこの派閥にも属していないのだ。

 貴族達が仲間うちで交流を図っているころ、アシムはデュラム家に飼い殺されたり、闇の組織を子分にしたりして割と忙しかったのだ。


「でもほぼ貴族のようなものでしょ?」


貴族の子供が親から爵位を受け継ぎ、家を継ぐ流れは自然である。


「だからたちが悪いのよ」


ライアが苦虫を踏みつぶしたような顔をした。


「なんの権力も”責任”も持たない子供がわがままし放題じゃない?」


「な、なるほど色々あるんだね?」


「まあ、私達はまだ被害に遭ってないから、見ただけだけどね」


「え? 学校始まったばかりだよね?」


「アシム君は遅刻して見てないかもしれないけど、式の前に早速いじめられてる子いたよ」


アシムは遅刻して見れなかったみたいだが、酷い貴族の子供がいることは確定のようだ。


「誰も止めなかったの?」


「同じ貴族の子が止めてたよ」


「いい奴もいるのか!」


「そう! グレン様っていうのよ!」


「グレン?」


「ユーリ君と並んで2大巨頭と言われてるわ」


「2大巨頭?」


アシムはユーリを見るが、当人は知らないようだ。


「それはマイアの中だけでしょ?」


ライアが否定の言葉を投げかける。


「どういうこと?」


「マイアはユーリ君のファンなの」


アシムはもう一度ユーリを見るが、無表情のまま固まっていた。


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