06 [森の影]
プロローグの続きになります。
すぐさま跳躍し、ロボットと天井の間に身を滑らせる。勢いを殺さずそのまま向こう側まで着地し、直前に2発の射撃を行う。
あくまでも牽制が目的なので、すぐ全力で走り続ける。
こっちの位置は既にばれている。敵が集まってくると厄介なことになりかねない。
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エネルギー残量 73%
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この状態でエネルギーの消費が激しいので、長引きは得策では無い。
腕輪が精神を落ち着かせてくれて、銃が戦いの方を教えてくれる。
ならば一点突破で素早く脱出するのみ!
「さぁ、お茶会の時間だ!」
次のドアが見えてきたけど、減速はしない。
体中のエネルギーを左手に集中する。
勢いに載せ、強化された身体能力で正拳を打つ。
ドアは耐えることなく、くの字の形になって廊下の隅まで飛ばされた。
そのままドアを越えてしばらく走り続いたら、前方から一発の弾丸が通過し、後ろの地面に着弾した。
[っ!!]
空中に何か浮いている?あれは...ドローンの群れ?!
嫌な予感がした。
腕で顔を庇って、次の瞬間頭が真っ白になった。
[ぐは..!]
無数の弾丸が襲来し、体のあちこちに悲鳴を上げている。
痛みで気絶そうになったが、腕輪の効果で意識が強制的に戻された。
(痛い痛い痛い)
痛くて死にそう。でも、やっと出口が見えてきた。体の悲鳴を無視して一筋の光に向かってさらに速度をあげた。
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真っ白になって見えなくなる。暖かい感覚に包まれ、痛み癒してくれるような錯覚。視界が徐々クリアになっていき、そして目に広がる木々。
「まだ気を抜いたらダメ!」
自分に言い聞かせて、追手を撒くためそのまま森の中に入り込み、僕はしばらくの間も走り続いた。そして日の暮れの頃、やっと追手の気配がなくなったから、僕は木々の影に身を隠して休憩することにした。
しかし、僕はすぐに思い知らせられた。影に隠しているのは僕だけじゃないこと。