05 [...やらかした]
目の前に巨大な斜行エレベーターがある。
どうもここはどこの地下施設のようだ。
「上手く起動できればいいけど...」
これまでの探索で、食料らしきものは見つけたが、どれも保存状態が悪くて食べられそうにない。
確証はまだできないが、この体のエネルギーは食事摂取で補給できるはず...つまり地面まで脱出しないといつれ詰んでしまう。
早速エレベーターに乗れ、電動機らしきものに手を乗せ、エネルギーを送って見る。
「これけっこうしんどいかも...」
エレベーターが一瞬激しく揺れたが、すぐに安定になって徐々上昇し始めた。
スピード遅いなのか、それともそれなり深いところにいるか。あれから15分くらい登り続けたのに、まだたどり着いていない。
腕輪に目を向ける
[14:47]
青いラインは既に消え、普段は腕時計の役割を果たしてくれるらしい。うん、地味に有り難い。
やることもないから今までのことを振り返してみた。
起きたら女の子の体になって、廃棄された地下研究施設にいる。
しかも人間をやめて、おまけに正体不明な力まで使えるようになった。
「ここから脱出できたら、どう行動すべき?」
人いる場所にたどり着いて救援を求める?
いや、それちょっとはまずいかも...
なにせこの体なのだ。何かあったのは知らないけど、研究室に閉じられてたからそれなりの研究価値はあるだろう。
解剖されてホルマリン漬けにされるなんで真っ平御免だ。
「どっちにしろ、判断材料がまだまだ足りない。けど当分はなるべく正体を隠して行動すべき」
しばらくして、激しい揺れのあと、エレベーターが止まった。
20分くらい経ってようやく到着したみたい。
一瞬バランス崩れそうになったけど、なんとかしてバランスを保って正面を向く。
「行き止まり?」
いや、よく見ればそれは巨大な扉だった。SF映画を連想させるような外見。あちこちよく分からないパーツまで付いていて、開くだけで過剰の演出が始まりそうなタイプだ。透明な部分もあって、おそらく強化ガラスの類だろう。
「端末の類は見当たらないっと...これは上手く操られそうにないやつだ」
困ったな、腕輪からの記憶情報にこの扉を突破できそうな方法はあったけど...できれば穏便に済ましたい。
「まぁ、いつか確認しなければならないことだし」
手を伸ばして、腕輪の武器化を試す。
腕輪の一部がブロックのように分解され、手のひらに集まった。気づいたら僕は既に一丁の拳銃を握っている。
「!!!」
一瞬、色んな情報が頭に襲ってくる。
頭の中がぐちゃぐちゃにされたような感覚。でも不思議の高揚感もあって、今なら誰にも負けない!歴戦の戦士でも一撃で倒してみせる自信がある!
「ふふふふ、さぁそろそろお茶会をしよう」
銃口を扉のに向けて、大きいな音と共にガラスの部分がそのまま昇華され大きい穴が空いた。周りのところも融解されていて、とてもシュールな光景だ
今の体は小さいからこのくらいの穴なら問題なくお茶会開けそう。
その時だった、あちこちから警告音が鳴り続けた。
『警告 侵入者を確認されました』
『警告 侵入者を確認されました』
......
[あれ?これってもしかしたら、けっこうまずいパターン?]
武器を握ったら[お茶会]のことが頭にいっぱいの主人公です。