来たぜ、森の廃屋
学校の校門前に全員が集まる。いつもの制服ではなく、動きやすい服装なんてことはなく、制服である。先生を除いて。
「えー、皆さんおはようございます」
「おはようございます」
先生の挨拶に部員全員で挨拶を返す。
「本日は森のお屋敷に行くなんて楽しいピクニックになりますね」
「先生、森のお屋敷ではなく森の廃屋です」
「え?お屋敷じゃないんですか?」
「違うぞ、だいちなんでそんな恰好なんだ?」
「そうなんですか。それはともっくこの服おかしいですか?」
先生の今の服装はとてもじゃないが森の中を歩く服装ではなく。これから大上さんとデートに行ってきますと言わんばかりの服である。
「でもそういう皆さんも制服じゃないですか」
「先生、これも部活なので」
「もう服の話はおしまいです。早く行きますよ」
先生は話を切り上げ歩き出し車に乗り込んだので、俺たちも車に乗り来み移動を始めたのだが高速道路を使っても目的地まで2時間45分、長かったです。車内では主に先生の話が多く大上さんとの進行状況の話にまでなり大変盛り上がった。
そして現在、森の中を先生筆頭に俺、錬、武、千秋と進行中、当然なのだが、先生がなかなかに遅くこちらの歩みも遅くなる。
「先生やっぱり着替えてきませんか?明日でも大丈夫なので」
「部長の言うようにせっかくの服が枝に引っかかって破れるかもしれませんよ」
「・・・同意」
「俺も」
「大丈夫です。これでも教師で、顧問です。なんの問題もありません」
俺達の言葉に先生は反対し歩く速度を上げて俺達の先頭を歩き続けるとやがて道ができ先生も歩きやすくなったのか歩く速度が上がった。
そしてついに見つけた森の廃屋と思しき場所。
古くなった洋館を中心に古くなったブランコ、滑り台、鉄棒そして乱雑に咲くガーデニングスペースと思しき場所があった。
「見つけちゃったよ」
錬の言葉に先生以外が頷く。
「え?知ってて来たんじゃないんですか?」
「先生、森の廃屋はオカルトなんですよ?狼男が実在したので、オカルト全ては否定しません。ですが……」
「これはさすがにまずいな、本当にあるとは思はなっかた。てな」
「え?え?」
「あーつまりですね、俺たちは雑誌に書いてある通りに来ました」
「それがおかしいんですか?」
「ここに来るまで看板はおろか道がありませんでした。もちろん舗装されていた形跡もありません」
「道じゃないところを歩いてきたとかじゃ‐‐」
「それはない。足元の道を見る限りそれはない。確かに廃屋の周りは草がすごいが、木が無くこの道には草一本生えてない」
そして、と俺が後ろを振り向くと全員が後ろを見る。先生も気づいたのだろう。
そう、俺たちの数十歩後ろには、足元の道なんて関係ないと言わんばかりに草が木々が生えている。
「か、帰りましょう」
先生が来た道を引き返そうとしたとき、させねぇよ。と言わんばかりの大雨が降ってくる。
「そ、そんなー」
「・・・雨宿り」
「同感」
武の言葉に賛成し廃屋にある軒下に一列に並ぶ。
並び方としては、武、俺、ドアの前に先生、千秋、錬と並び雨宿り。
「あ、先生ドアのところには立たないでくださ‐‐」
千秋が先生に声をかけようと先生を見たその瞬間。