我らが探検部
「皆さんこんにちは、今日この場にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。さて、まずは自己紹介させていただきます。俺の名前は、白銀由斗高校1年生でこの部活に所属し部長をしています。この部は妖怪、悪魔、異世界とかについて調査・実行する活動です。その名も怪異探索索検証部!略して探検部」
「突然どうした? 」
さて、この軽い返答をしてくれた彼は、八代錬
「そうですよいきなり、熱でもあるのですか? 」
気弱な口調の彼は、副部長の中園知秋
「・・・」
無口な彼,山上武を含めた俺達全員1年生である。
「いや、何となく挨拶をしないといけない気がした」
「ふーん、まぁ別にいいけど、で?今日は何をするんだ? 知秋」
「え? 唐突だね。そうだね、今回は、このオカルト雑誌にある森の廃屋について調べようかなって思う」
「オーケー、副部長」
「あれ? 俺部長だよね? なんで知秋なの? 」
どういうわけか、この部のその日の活動内容は部長である俺ではなく副部長の知秋が決める。
「・・・フッ」
「おい、その笑いはなんだよ」
「まぁまぁ、何時もの事だし気にすんなよ」
「ぐぬぬ」
「それ、声に出して言わないでくださいね」
武が笑い、俺が突っかかり、それを錬が慰め、フォロー? する知秋。毎日飽きもせず漫才みたいなやり取りをしながら、俺達は楽しく過ごしている。
「それで、この廃屋は--」
「一度入ったら出られないっつー、頭の悪いオカルトだろ」
「なぁ錬、それ俺のセリフ」
「・・・ドンマイ」
「え、ええと、その廃屋に実際に行って調査しようかなって思うんですけど」
「良いよ、どうする?現地集合は駄目だから……学校?」
「それしかねーだろ」
「・・・許可」
武の一言で部室の空気が凍る。
「あー、美花先生は? 」
「いつも通りだよ」
知秋の質問に簡潔に俺が答える。この部の華であり顧問の綾野美花先生は、以前というより3ヶ月前なのだが、狼男は実在するのか? の調査の時に狼男に襲われて以来たまに部室に来ないで、デートに行っている。
「あぁ、狼男の奴か、あれは焦ったよなー、まさか本当に実在していたとは思ってなかったからな」
「そうですね。この間聞きましたけど、更にラブラブだそうですよ」
「リア充め! 」
「・・・チッ」
千秋と俺を除く二人の無念な叫びが部室に響く。
相手の狼男で名前は大上学さんは
「一目惚れだ! これは襲わずに居られない」
と吠えながら襲って来て美花先生の付き合う理由が
「あの逞しい体に襲われたとき、この人が私の運命の人だと本能が言っていたの」
とかなり良い笑顔で話しており、どうして恋人同士になれたんだよという思いでいっぱいである。
「あはは、幸せなら良いんじゃないですか? 」
千秋の言葉もわかる、結局周りが何と言おうと本人たちが幸せならそれでいいと思う。
しかし、しかしだ。
「狼男は無いだろ」
「まったくだ」
俺の言葉に錬が頷く。
「--そんな事はない!良いじゃないか! お互いに相容れぬ者同士の恋! それすなわち、美小女と獣の恋物語! 人と悪魔の恋物語、最高じゃないか! その何が悪い! 」
今まで一言しかしゃべらなっかた武がしゃべる。
「あちゃー」
やってしまった。武はちょっと特殊な性癖があり少し厨二病である。性癖は今のを聞けば分かると思う。ではなぜ中二病なのか、それは本人も言っていたが、喋らない俺カッコいいだそうだ。
「悪かった。別に否定するわけじゃないから」
「--そうか」
「では、美香先生には僕から連絡しますね」
「日時だけでもきめようや」
「明日は無理だから来週の土曜日にしようぜ」
千秋が携帯を手に取り、先生に電話をかける。
「え、今するの?今デート中じゃ」
「だからですよ」
「ア、ハイ、ソウデスネ」
「では、少し席を外しますね」
千秋が部室から出る。
やばい、千秋が少し怖い。
「デート中に電話とかまじか」
「まぁ、部活放ってデートだからな」
「・・・」
武が会話には入ってこないな。
「武?」
「・・・眠い」
「……良い夢を」
「んで?荷物は各自か?」
「そうだな」
部室のドアが開き笑顔の千秋が席に着く。