第三話
王子が間抜けな声を出してから辺りは静けさに包まれた
静かな時間は一分にも満たなかっただろうが、私にとっては悠久の時のように感じた。
初対面で
『私を従者にしてください!』
といきなり言われたら驚くだろう。
私だったらコイツ頭おかしいんじゃない?
そんなことを思ってしまうだろう
だか、いま言わなければならないと使命感に囚われたのだ
何故だか自分にもそれはわかってない
そして王子は重々しく口を開いた
「…従者になりたいのですか?」
「はい」
クスッと彼は笑った
「女性にはこの年ですが擦りよられることはあっても、従者になりたいと言われたのは初めてです」
「それは御愁傷様です」
「貴方は変わってますね」
「そうですか?普通だと思いますが?」
「普通の人間は従者になりたいと願いません…それに貴方にあったときから、貴方は人と違うと思ってましたから」
「へっ?」
今度は私が間抜けな声を出した
粗相を何かしただろうか?そう思い記憶を探っても、ただただ普通に挨拶した記憶しかない
「何か変なことしましたか?」
「いえ貴方は変なことをしてないですよ?」
「じゃあどうして…」
「貴方があまりにも普通すぎたんです」
「私の容姿は美しい…あっ別に私がナルシストということではなく、客観的事実をのべてるだけです。…普通の人は初めてあった際、老若男女問わず見とれるか、頬を染める程度のことをするんですよ。貴方の妹のように…
だからこそ貴方の反応には驚いたんですよ?」
だからあの時少し驚いた顔をしていたのか…次からは気をつけてなければ何事も普通にしても怪しまれてう…気を引きしめなければ
「だけど従者になりたいと思うなんて驚きです」
「王子のお姿を見て従者になりたいとおもった次第でございます…いえ正確には目を見たからですね。」
「目を?」
「はい。その目を貴方様は王になるのに相応しい御方だと確信したので、王になった貴方を支えたいとおもったのです」
「私は一体どんな目をしていたんです?」
「冷酷で他人を信用していなく目ですよ…まぁ貴方様が一番ご存じだとおもいますが」
「…初め俺の本性が暴かれたよ…隠しきれてなかった?今まではこの顔と猫被りお陰でばれなかったんだけどね」
降参という風にてをあげ私に話す王子
一人称も変わってはいるが、それは私に対して気を許したからだろう。
今まで王子は誰にも本性を出せなかったのだから無理もない
「ところで俺は王に相応しいといってるけど、父上に対してはどう思ってるの?」
「急にどうされたのですか?」
「だって、俺を君は王とは言っているが、今は俺は王ではない。
だから父上を認めてないのかと思ってね」
「王様は優しい御仁で好意は持てますよ…ですがはっきりいって申し上げて、あの方は王には向いてない。
王にしては優しすぎて凡庸で鈍感過ぎます。」
「良く知ってるね…でも君と王はあったことがないはずだけど?」
彼は不思議そうに私に聞いてくる
私が王様と話したことがないのに、それどころか王宮に来たことさえないからだ
「あったことはないですが…政策や貴族の処分の仕方があまりに手ぬるいので…あと王宮の不穏な動きに気付いてないので。」
「君って見る限り俺と年齢が変わらないと思うけどさ…色々知りすぎてない?」
「親の会話や大人の会話を盗み聞きしているので。私目の前で機密情報とかを喋る両親なので…それに貴方様だって知ってる部類ではありませんか」
「いやいや…たかが十歳程度の子供が機密情報を理解できるとは誰も思わないから」
彼はそういって苦笑いをした
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