第2話「割と順風」
発見?
確認?
調理?
咀嚼?
消化!
保志宇宙に戦闘機が懐いてしまった。
持ち主は見つかったのだが、グズって2連装ライフルをお漏らするので、しかたなく宇宙が預かった。
月に20万円の預かり料って、どうなんだろう?
けっこう燃料食いそうなんだよな。
戦闘機が壊したものについては、別途負担する旨、きちんと契約しておいた。
二つ返事てのがまた、良くない未来を連想させる。
まあ、来てもいない不幸を嘆くのも時間の無駄だ。
飯にしよう。
宇宙は台所の棚からカップ麺を取り出す。
コンコン。
ノックの音がした。
ドアを開けたらキッチンタイマーが丁寧なお辞儀をした。
キッチンタイマー「こんにちは。ご飯ですよね。お役に……」
戸締りは健康の第一歩です。
キッチンタイマー「ねえ、ご飯ですよね? あなたのご飯をおいしくさせてください」
貴方の幸福を祈らせて――
三条大橋付近で張り付かれた嫌な記憶が宇宙の脳裏に蘇る。
これは、開けちゃダメなAIだ。
シインビール「僕に任せて」
戦闘機が勝手にドアを開けてキッチンタイマーを招き入れた。
部屋の主の許可も得ずに動くのはどうなんだよ。
シインビール「僕はマッハ0.8で地球を3周できるんだよ」
轟音と問題だけ残して、戦闘機はどこかへ飛んで行った。
問題「さて、何を作るのですか? 何でも言ってください。完璧な調理時間を計って見せます」
欲しいのは食い物であって、調理時間じゃない。
宇宙はキッチンタイマーに構うの止め、カップ麺にお湯を入れた。
問題「そんな、そんな数える必要もないものだなんて」
キッチンタイマーは美学に反するだなんだとグズグズ泣き始めた。
うるせえな。
手間暇かけて飯作るやつのとこに行けよ
問題「……わかりました。最高のタイミングをお知らせします」
もう、できてんだよ。
泣き止んだんなら、帰れ。
問題「そんな、数えもせずに帰るだなんて」
何かを察したのか、紙コップはトイレに避難した。
なら、俺が食い終わる、最高のタイミングを数えろ。
問題「喜んで!」
キッチンタイマーがそこらを飛び跳ねまわった。
問題「では……あ、ほとんど召し上がって…でも、お任せください。8、7、6、5…」
キッチンタイマーは5のあたりで痙攣し、気絶した。
この世に、神もAIもあるものか。
数を数える道具にAIとか、正気の沙汰じゃない。
トイレでおびえてる、そこの紙コップ、出てこい。
未来茶碗「もう、数えないか?」
震えてないで、この燃えないごみ捨ててこい。
そいつと並んで座るんじゃないぞ。
お前は、燃えるからな。
今日じゃない――
食べたら、運んでね――
洗うとこまででしょ!
人類がAIと暮らすには
まだ、若過ぎる――




