女王様大試乗会
女王様大試乗会の日がきた。
(アイリス侯爵家一人娘 ツバキ)
女王陛下、これが"魔動車"でございます。
色々あるので、各種お乗りください。
(ダノン王国女王 キル・ダノン)
楽しみしておるぞ。
(ツバキ・アイリス)
はい。
という事で、全種類ピットに並べた。
(キル・ダノン女王)
なかなか変わった形をしておるの。
(ツバキ・アイリス)
はい、それが特徴です。
後は魔動システムをどこに積むか、どういう駆動方式を取るかで少しずつ変わってきます。
それぞれのクセを楽しむのも一興です。
(キル・ダノン女王)
なるほどな。
そう言うと、ツバキは女王を乗せてピットアウトしていく。
試乗コースに選んだのは"鈴鹿"だ。
まずはFF、フォルスバーゲンだ。
(キル・ダノン女王)
ほう、馬車より速いな。
(ツバキ・アイリス)
もっと速く走れます。
そうなると、独自のクセも分かりやすいかと。
(キル・ダノン女王)
そうか、ならそれが分かる速さまで上げよ。
(ツバキ・アイリス)
はい!
そう言うと、ツバキはアクセルを踏み込む。
(キル・ダノン女王)
ふむ、速い!
これは加速する時、前から引っ張られる感じがするな。
(ツバキ・アイリス)
はい、その通りです。
FFというのはこうゆうクセがあります。
その分、レースになると、スタートが少々苦手になります。
(キル・ダノン女王)
前が浮き上がるからか?
(ツバキ・アイリス)
はいそうです。
前が浮き上がる為、せっかくの力が抜けやすくなるからです。
走ってしまえはそこまで気にはなりませんが。
(キル・ダノン女王)
なるほどの。
(ツバキ・アイリス)
では、次、いきましょう。
次はFR、タヨト69LZRacingだ。
(キル・ダノン女王)
これはまた違うな。
前が上がるが後ろから押される感じがする。
それにカーブで後ろが滑ってないか?
(ツバキ・アイリス)
はい、その通りです。
これだと後ろを滑らしやすくなります。
だから、先程と違う軌道で曲がっていく事ができるのです。
次いこう、つぎはガンボリマーコンLZ072、MRだ。
(キル・ダノン女王)
これはまた違うな。
後ろから押される感じがするのに前があまり浮いた感じがしない。
先程よりカーブの曲がり方が鋭くないか?
(ツバキ・アイリス)
その通りです。
これがMRの特徴です。
その代わり、シビアになりすが。
(キル・ダノン女王)
なるほどの。
次いこう、RR、パルシャ9119。
(キル・ダノン女王)
これはまた、後ろか重い感じがするな。
先程より減速位置も奥ではないか?
(ツバキ・アイリス)
その通りです。
RRは一番重たい魔動システムを一番後ろに積んでいます。
その分、ブレーキが良く効きますから、奥まで突っ込めるんです。
ただ、後ろが重い分、振り回されないように気をつける必要はありますが。
(キル・ダノン女王)
なかなか面白いな。
次で最後だ、4WD、マッサンGT-Rだ。
(キル・ダノン女王)
これは凄いな。
カーブの途中から加速できるのだな。
しかし動きが重い気がするが。
(ツバキ・アイリス)
それが4WDの、特にこれに積んでいるアテーサ4WDの特徴です。
(キル・ダノン女王)
なるほどな、しかし、これは面白い。
良い余興になる。
そう言われたツバキはピットインした。
(キル・ダノン女王)
でだ、お主が作った"王侯貴族でも死なない安全装置"というのを試してみよ。
(ツバキ・アイリス)
・・・は?
(キル・ダノン女王)
我が乗る、試してみよ。
(ツバキ・アイリス)
は?はあああぁぁっ!!
(キル・ダノン女王)
どうした、自信があるのだろ。
(ツバキ・アイリス)
いやいやいやいや、無茶無謀をしない為に痛みと熱さは感じます。
念の為、走行後は治癒室で治癒士による回復魔法を義務付けにしています。
死なない程度の骨折はしますよ?脳しんとうとか。
(キル・ダノン女王)
構わぬ、体験させよ。
(ツバキ・アイリス)
宰相!!(涙目)
(ダノン王国宰相 カルナ・バイン:女)
陛下、いくらなんでもそれは無茶苦茶かと。
御身に何かあれば取り返しがつきません。
(ダノン王国近衛騎士団長 キャロス・ミシカン:女)
せめてそのお役目は私が。
(キル・ダノン女王)
筆頭魔道士が居るではないか。
せっかくだ、体験させよ。
(ツバキ・アイリス)
誰か止めてください(半泣)
(キル・ダノン女王)
ツバキ、お主はそんなに自信がないのか?
(ツバキ・アイリス)
いや、そうではないですが……
(キル・ダノン女王)
ならば良かろう。
(ツバキ・アイリス)
・・・(涙)
そこで手の内を明かした。
(ツバキ・アイリス)
絶対治癒室に運んでください。
治癒室には"ヒール"を発動するだけで"テラヒール"が発動するようになっています。
だから、必ず運んで治癒魔法をかけてください。
(ダノン王国筆頭魔道士 フィナ・ガイン:女)
・・・は?"テラヒール"……………………
それは神話の魔法だぞ、ツバキは使えるのか?!
(ツバキ・アイリス)
・・・はい。
ご内密にお願いします。
(カルナ・バイン宰相)
内密にできるわけがなかろうが!!
(ツバキ・アイリス)
ですよねぇ〜(泣)
(キル・ダノン女王)
それは後だ、まずは体験させよ。
(ツバキ・アイリス)
分かりました……(涙)
という事で、ツバキはダノン女王を乗せ、ピットアウトして行った。
最終コーナーを立ち上がり……
(キル・ダノン女王)
手を抜くでないぞ。
(ツバキ・アイリス)
はい(涙)
【ファイアボール】
魔動車に火を放つ。
(カルナ・バイン宰相)
陛下!!
そのままアクセル全開で壁に激突した。
ぐしゃぐしゃに壊れる魔動車。
(キャロス・ミシカン近衛騎士団長)
早く陛下を救い出すのだ!!
(フィナ・ガイン筆頭魔道士)
火を消します。
【ウォーターボール】
骨折と脳しんとうを起こした状態で救い出されるダノン女王。
そのまま治癒室に運ばれる。
(フィナ・ガイン筆頭魔道士)
いきます。
【ヒール】
えっ?
見た事もない光に包まれるダノン女王。
そして目覚める。
(キル・ダノン女王)
ほぅ、凄いな。
古傷まで治っているぞ。
ツバキよ…………ツバキは?
(カルナ・バイン宰相)
そんな事より、御身は……
(キル・ダノン女王)
バカ野郎!!
ツバキを連れてこい!
治療しないでどうする!!
お前達、処刑されたいか!!
(ダノン王国近衛騎士団副団長 キャス・マイン:女)
も、申し訳ございません!!
慌ててツバキを救いに行く近衛騎士団長達。
その頃、ツバキはケインとミアに救い出されて治癒室に運ばれているところだった。
(アイリス侯爵家当主 ケイン)
ツバキ、しっかりしろ、今、治癒室に運ぶからな。
(ツバキ・アイリス)
うっ、うううっ……て……
【テラヒール】
ふう、助かった。
やっぱり見捨てられると思ったから嫌だったんだよ。
手加減するなって凄い圧、かけるんだもん(涙目)
(専属メイド ミア)
それにしても無茶苦茶ですよ。
(ツバキ・アイリス)
ミアが手抜きしてたら、今頃死んでたけどね。
(専属メイド ミア)
怖い事、言わないでくださいよ(涙目)
完治したツバキは女王陛下に会いに行く。
(キャロス・ミシカン近衛騎士団長)
だ、大丈夫なのか?
(ツバキ・アイリス)
はい、治癒魔法をかけましたから。
そこへ女王がやってきた。
(キル・ダノン女王)
ツバキよ、よくやった。
これで安全は保証された。
我も参加するぞ。
(ツバキ・アイリス)
いや、女王陛下が参加すれば……
(キル・ダノン女王)
余興だ、手抜きは許さんぞ。
(ツバキ・アイリス)
・・・はい……
という事で、全種類の魔動車を献上した。
まぁ、見本で配る予定だったから、コピーはしてあったので困らないが。
という事で、女王陛下大試乗会は無事?終わった。
そして後日、王宮から呼び出しがあった。
(ツバキ・アイリス)
ですよねぇ〜……
(当主 ケイン・アイリス)
大試乗会で"テラヒール"が使える事がバレたからな。
(ツバキ・アイリス)
でも言わなかったら、治癒室に運んだかどうか分からないし……
(当主 ケイン・アイリス)
あの治癒室があるからこそできた事だからなぁ……
(ツバキ・アイリス)
そうなんですよ……
という事で、嫌な予感しかしない王宮の呼び出しに応じた。




