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家庭の事情(中編)

「あなたどこでそれ聞いたの!?」母親の様子が急変したことにファテイマは気が付いた。

「ちょっと遺跡でノルンに解読してもらった内容にそんな事が書いてあったんだよ」何か本当の事は言わない方がいいような直感が働いて、とっさにそんなウソをついた。


「それはおかしいわね…。何で遺跡に?というかあなたどこに行ってきたの?ノルンちゃんも一緒だったの?」ノルンと違って、ファティマはキャンプに行くなどのアリバイ工作は一切していなかった。なのでそこは嘘をつくのはやめた。


「転移魔法の練習してて遺跡を発見したんだよ。そこにあった文字が古代文字に似ていて、何となくそう読めるってノルンが言ってたんだ」

「うーん…遺跡か…何か他にも意味があるのかしらね」ティアマトはそう言って考え込んでしまった。


 自分の母親は魔王なだけあって何か知っていそうな気もしたが、それ以上会話を続けると転移遊び…更には異世界オメガへの転移までもがばれそうな気がしてファティマは話題を逸らすことにした。

「知らないならいいよ。でさ、話は戻るけどパートナーにしたいやつをその気にさせるにはどうしたらいいんだろうな?」


「そりゃやっぱり胃袋を掴む事でしょう。あなた料理上手いんだから使わない手はないでしょ。何?もう子供作りたいの?まだ早いんじゃないの?せめて大学出てからにしなさい」

「いや、すぐにどうこうって話じゃなくてさ…なるほど胃袋ね…」

そう言ってファティマは何かを考えている。そうしてこういった。

「今日の夜は私が作るから、昼食べ終わったら買い物に行ってくるよ」

「あざーすっ。私の胃袋は完全にあなたに掴まれているから」ティアマトはそう言って笑った。魔王の威厳はあまり感じられない。


 この世界では肉体労働は人ではなく、魔力で動くゴーレムがその殆どを担っている。自ら進んでやりたいという場合を除けば農業でも工業でもそれは同じである。そうしてベーシックインカムと言って、全ての人にはもれなくお金も支給される。魔王と勇者の戦いが終わってしばらくするとそうなった。魔法などというとてつもなく便利なものが存在していて、争いが無くなれば当然の帰結だった。


 働かなくても生活の心配がないのだから、誰もが働くのを止めたかと言えばそんな事もない。結構それぞれが自分の好きな仕事を続けている。人はパンのみにて生くるものにあらずだ。


「あ、そうだ。大学の教授から今度魔法格闘競技会に出てみないかって言われたんだけど、出てもいいかな?」

「うーん…悪目立ちするなって言いたいところだけど、あなたももう18歳だからね…でも魔王族だってばれたら世間から色々と言われるわよ。それも考えた上で自分で判断しなさい」ファティマは母親には絶対に反対されると思っていたので、その答えは意外なものだった。何か少しは大人になったと認めてもらった気がして、今日の夜ごはんは腕によりをかけようと思った。


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