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オメガ(中編)

「とにかくこの世界の事を説明して頂けますか?」気を取り直してノルンは男たちにそう聞いた。


「この星…君たちには世界と言った方がいいかな。俺たちはオメガと呼んでいる」そうタニグチが言ったところで、トニーがまぁまぁ立ち話も何だからと言って、テーブルを囲んだ椅子に一同は移動した。トニーは全員分のお茶を入れてくれた。男ではあるがこのグループの女房役なのかもしれない。


「飲んでるもんは同じなんだな。これ紅茶だろ」ファティマはカップの中の紅茶を見ながらそう呟く。


「君たちの世界は多分我々が呼ぶところのアルファだろうな。多分そちら側も一緒だと思うがこの星は半球の形をしている。これは天体としては非常に不自然だ。以前は球形だったものが半分に分割されたと考えられている」タニグチが真剣な顔をしてそう言った。


「ははは、世界が球形だったら下の人は落ちちゃうじゃないか。世界は平たいに決まってるだろう」ファティマが笑う。


「重力って分からない?」タクヤが言った。

「重力魔法なら使えるぞ」ファティマが答える。

「その重力ってやつがあるから、下の人は落ちないんだよ。まあ上も下もないけどさ」タクヤが説明する。


「まぁ星の形はいいとして、とにかく元はひとつの世界が二つに分かれたという風にここでは考えられている。そうして分かれる前に作られた転移ゲートを使えば、二つの世界を行き来できるんじゃないかというのが最近の見解だ。ゲートはいくつか発見されたが、いくら分析しても起動方法が分からなっかったんだ」タニグチはそうゲートの事を説明した。


「先ほど私たちが女だと知って驚かれていましたよね。私たちの世界には人は女しか存在していません。もしかしてこちら側はその逆なんでしょうか?」ノルンが聞く。


「うん。経緯はよく分からないけど、少人数による社会支配が進むと、労働力として役に立つ男だけが人工子宮で培養されるようになったらしい。生物としての多様性は保つように10人分の遺伝子を採取して混ぜ、10個体に分割して誕生させる。君たちは女性だけでどうやって子孫を残しているんだい?」タニグチが聞く。


「二人の女性がパートナーを組み、魔法の力で生殖細胞中の遺伝子を混ぜ合わせます。その上でそれぞれが懐妊して出産します」ノルンがそう答えるのを聞いてダニエルは

「俺たちの方よりは遥かに自然の摂理に敵っているかもな。男の体は構造的に子供を産めないから機械頼みは仕方がない」と言った。


「なんか話が難しくて良く分からないぞ。とにかくここにはオスしかいないんだな」ファテイマが横から口を挟む。

「いや、オメガでも人間以外の動物にはオスとメスがいるよ。そこは自然のままだ。人間が魔法で遺伝子を混ぜているなら、それはそっちの世界でも一緒なんだろ?」タクヤが言う。


「先ほど私たちを襲ってきたモノはなんだったんですか?」ノルンが聞く。

「あれは支配者連中…ユーナムと呼ばれているんだけど、奴らが作った探索マシーンだよ。他にも人間の姿を模したヒューマノイドというマシーンも存在する。あまり大きな声じゃ言えないけど、女性型もいるんだ」タニグチが答えた。なぜ大きな声で言えないのかノルンとファティマには察することはできなかった。


「なぜ彼らはゲートを探しているんでしょうか?」再びノルンが聞く。

「うん。奴らはどうももう半分の世界…アルファにも進出しようとしているらしい。最終的にはひとつの世界にしようという事なんだろうな」タニグチが答えた。


「別にそれは悪い事ではないんじゃないでしょうか?」

「あいつらは自分達の支配を広げたいだけだよ。でなきゃ僕らもこんな風に戦ったりしない」タクヤが言った。


「残念ながら、この世界ではなかなか彼らの支配を終わらせることができていない。利己的な支配者が牛耳っている現状では、異世界への進出は防いだ方が良いだろうと我々は考えている。なので今は起動できないものの、ゲートは破壊しておいたほうが良いだろうという事で俺たちも探しているんだよ。だから君たちがゲートを起動できたというのは驚きなんだ。やつらにはあまり知られない方がいいだろうな」タニグチが言った。


「他のゲートを見つければ私たちは元の世界に戻れるんでしょうか?」ノルンが聞く。


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