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ep.7 召喚されし、異世界人

「なあ、俺っていつになったら帰れるんだ?」


 牢屋に腰をかけるツンツン頭の男が兵士に向かって話しかける。


「そこで大人しくしていろ。貴様の処遇は、この後の模擬戦闘により決定される。ここで高い評価を貰えたのなら、貴様が元いた世界に帰れる可能性がある。」


「へいへい。模擬戦なんだろ?ならせめて武器を選ばしてくれよ。」


「選べる武器は、剣、槍、弓矢、盾だ。」


「魔法は使えなぇってのかよ、しけてんな。」


「貴様ら異世界人と我々では身体の構造が違うのだろう。貴様以外の異世界人で模擬戦時点で魔法が使えた者は誰一人としていない。」


「異世界人に魔法は使えねぇってか。なら使う武器は決まりだ、槍で頼む。」


「よかろう、ではこちらに来てもらおう。」


 兵士は牢屋の扉を開けて男を連れて行く。

 そして一つの扉の前で兵士は男の手錠を外す。


「なんだ?逃がしてくれるのか?」


「違う、さっきも言っただろう。今から模擬戦闘だ。この部屋に入って武器を取れ、そして自分の力を証明して見せろ。」


「ああ、やってやるぜ。」


 男は躊躇なく扉を開けて中へと進んでいくと、鎧や様々な武器が置かれた準備部屋に着いた。


「はっ、お生憎様、俺は鎧とかは動きづらくて好きじゃないんでね。槍一本で十分だ。」


 そう強がり男は槍一本持って準備部屋の奥に見える扉へと手をかざして扉を思いっきりこじ開ける。

 そして男は扉を潜り、闘技場のような所へと出た。


「まるで見せ物だな。」


 闘技場には観客がずらりと並んでおり、柱には一つ一つ水晶玉のような物が取り付けられており。闘技場全体を見渡される豪華な観客席に一人の十代後半ぐらいの年の青髪の女性が見ていた。


「あんたか?俺を呼び出したのは?」


 男はその女性に向けてタメ口で話しかける。


「口を慎め!このお方は次期デトリア女王になられるお方あるぞ!」


 側にいた大柄の中年ぐらいの騎士のがその態度に腹を立てる。


「あっそ、で俺はどうやって俺の力を証明すればいい?」


 だが、男はその忠告に耳を貸さずに話しかけ続ける。会場がざわつき始める。


「ぐぬぬぬ、口が聞けない奴め。いいだろう、そんなに力を示したくば、私が直々に相手をしてやろう!!!」


 騎士は怒り狂ったかのように観客席から闘技場へと飛び降り、男に向けて大剣を突き立てる。

 全身プレートメイルに身を包んだその外見は、素人から見ても簡単に攻撃は通りそうな代物ではなかった。


「おいおい、あれって…」


「ああ、近衛兵騎士団長のアグリ・イザー。このデトリアで一番強いって言われてる男だ。」


 アグリ「審判、これでいい始めさせろ。」


「え、はいわかりました。これより異世界人採用模擬戦闘を開始いたします!!」


「「うおぉぉぉぉーーーー!!!!」」


 観客から声援が上がり、今模擬戦が開始する。


 アグリ「どりゃぁ!!!」


 アグリは大剣を軽々と男の脳天を目掛けて振り下ろす。

 男はそれをまるで風に吹かれて回る風車のようにスラリと槍を使っていなす。


「槍術:風車(かざぐるま)。」


 アグリ「何っ!?俺の剣をいなしただと!?」


 アグリは動揺を見せる。


 異世界人はこちらの世界へと渡る際に強力な力をもたらされるが、実践経験の少なさ故か魔物との戦いでさえ儘ならなず命を落とすのが通例である。


 そしてアグリは男の事を舐め腐っていた、たかが異世界人だと侮っていた。


「異世界の連中ってのも、大したこたぁねぇんだな。隙はあるわ、振りかぶりは遅いわで話に何ねぇぜ。」


 男の煽りが更にアグリの怒りに油を注ぐ。


 アグリ「一度躱しただけで、いい気になるなよぉ!!異世界人の分際で!!デュランダルインパクト!!」


 アグリは再び男へと斬り掛かりに行く。


「そんな見え見えの攻撃に当たるわけねぇだろっ……て、何っ!?」


 当たると思った瞬間。アグリの大剣が二つの片手剣に分離し、右手は突き、左手からは右腹部へと向けた斬撃が放たれようとしていた。


 アグリ「取ったっ!!!」


 観客もこのままではあの男は死ぬだろうと思っていたが、パリンと何かが弾け飛び、地面へと突き刺さった。


「槍術:落花流水。」


 その場に残っていたのは、折れた大剣と闘技場には台風の目のように二人を中心に渦が巻いたかのような後が残った。


 アグリは膝をついて体制を崩す。


 アグリ「貴様、何をした…?」


「その者は、貴方の一撃を槍を使って高く飛んで回避した後に、空中から貴方の大剣に目掛け落下の勢いと合わせて一撃を加えたのです。」


 アグリ「マリアお嬢様…」


 王女は、階段を降り闘技場にいる二人の下へと足を歩ませる。


「私に対して舐めた態度をたった彼も彼ですが。アグリ、貴方のその堪忍袋のキレやすさもいけない点ですよ。」


 アグリ「大変申し訳ございません、マリアお嬢様。」


 マリア「前から言っているでしょう、マリアでいいですと。そしてそこの貴方。」


「んあ、俺か?」


 マリア「ええ、貴方です。模擬戦闘試験、合格です。」


「そりゃどうも、王女様。」


 マリア「あ、ちゃんと話せるんですね。」


「そりゃ、あの距離から見た時に王女様だって気づきゃしねぇよ。」


「そうでしたか。それと貴方お名前は?」


「槍一郎、海風槍一郎(うみかぜそういちろう)だ。」


 マリア「では、槍一郎殿。私について来てくださる?」


 槍一郎「付いて行くって、何処に?」


 マリア「王との謁見の後に、合格者の職業選択と報酬の受け渡しがありますので。」


 そして槍一郎とマリアは闘技場を出てデトリア城の王室へと向かい、王を謁見した。


 マリア「お父様、連れて来ました。こちらが試験合格者の…」


 槍一郎「海風槍一郎だ。」


「ほう、其方が。先の戦い実に見事であった。」


 槍一郎「なんだ見てたのか?アンタみたいな人会場には見当たらなかったが。」


「ほっほっほっ、中々に面白いヤツよの槍一郎とやら。闘技場の柱に水晶玉があったであろう?あの水晶玉を通して先の戦いを見守ってあったのだ。」


「陛下!」


「いいのだ、我々が無理を行わせてここに来させてしまったのだ。上から目線では図々しくて其方もウンザリするであろう?それに、其方は既に神にお会いにはなっておるのだろう?」


 数時間前


 槍一郎「なんで俺はこんなとこにいんだ?」


 槍一郎は眠りから覚めると見知らぬ空間にいた。


『お前は選ばれたのだ。』


 槍一郎「意味わかんなぇな、アンタ誰だよ。」


『我は神である、お前にはやって貰いたい事がある。』


 槍一郎「ブワッハハハ!!お前、人を誘拐しておいてよくそんなこと言えるな??」


『お前はこれから魔王と戦ってもらう。』


 槍一郎「もちろん断らさせて貰うぜ、俺は別に現実世界で不満を持ってる訳でもねぇ、退屈してる訳でもねぇ順風満帆な槍術ライフを送ってんだ、それに明日は大事な大会があんだよ。」


『お前に拒否権は無い。その代わりお前に合った能力を授けよう。』


 槍一郎「テメェ!話を聞きやがれって!!」


 槍一郎の真下に魔法陣のようなものが現れて、槍一郎は光に包まれる。


『お前は今から異世界に召喚される、そして魔王を倒せ。そうすればお前を元の世界へ戻してやろう、健闘を祈る。』


 槍一郎「ふっざけんなぁぁぁぁ!!!!」




 槍一郎「そうだよ、俺だってやりたい事あんのにそっちの事情で無理矢理呼ばれたんだ。せめて早々に元の世界に帰りたいもんだね。」


 マリア「流石に同情しますね。なんか申し訳ないです。」


「其方の気持ちを尊重し、最上級の武具を用意しよう。それに職も与えなくてはな。」


 槍一郎「感謝するぜ。俺はとっととこの世界からオサラバしたいんだ、だから俺も最善を尽くすからよ。」


 そうして槍一郎は兵士に連れられて、武器庫からとある槍を貰い、ギルドにて槍使いに着き、数々の経験を積んで、マリアと共にタイガ=モードリスの勇者パーティへと加入した。

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