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73話目 樽酒2

タオルを首から掛けると姉がキッチンから白いマグカップとお玉を持ってきた。


「匂いはアルコール臭いんだよねぇ。 どれどれ色はどうかな?」


姉がお玉で中身を掬いそのままコップに注ぐ。


「どんな感じ?」


「なんか……色はビールっぽい?」


「見せて見せて」


どうぞ、と姉が私にマグカップを手渡す。

中身を除くと、液体は俗にいう黄金色、王道のビールの色をしていた。


「……匂いはなんだか酸っぱい? ビールってこんな匂いだっけ?」


「発酵酒っぽい? けど炭酸は発生して無さそう? いや……単に抜けてるだけなのかな? 薄っすら泡が見られるし……」


姉がブツブツ呟きだした。


それを私は首を傾げながら見守る。

私は未成年。 ビールなんて飲んだことすらないから違いが分からないもん。


「お姉ちゃん、飲んでみる?」


「飲まんわ!! ……ちょっと舐めてみようかな」


さっきまでは断固として飲まなさそうだったのになと思いながら、「はい」とマグカップを返した。


「嫌よ嫌よも好きのうち?」


「ツンデレとは違くない?」


そう言いつつもチロリとお酒を舐めた。


「……どう?」


「んー……ん? んー…………非常に表現が難しい味」


「……どんな味なのそれ」


「表現が難しい味」


「分かんないよー」


お酒を舐めた姉は眉間にしわを寄せ首を捻った。


「美味しいの? 美味しくないの?」


「美味しくない!!」


「そこは断言できるんだ」


「断言する……取りあえず残りは流そうか」


マグカップを私に手渡しし、シャワーを出し樽を抱え傾けると排水溝へと流し始めた。


「……なんだか勿体ないね」


「消費しきれないからしょうがない」


「結局何味なの?」


「うっっっっすい酸っぱいビール? なんだろう市販のビールに果実酢を入れて気持ち程度の砂糖を入れて苦みを足して水で数百倍希釈した感じ」


「よく分からないけど不味そうなのは分かった」


「分かってもらえたなら良し。 優奈は二度とアルコールを適応しないで」


よっぽど姉の口に合わないお酒だったようだ。

釘を刺されてしまった。


空になった樽は分解しディトルグ国の木にして縛っておいた。

作製を試したら何もできなかった。

他に使い道が無さそうなら捨てよう。


その後は姉と二人でお風呂場を洗い、軽くシャワーを浴びてから、排水溝掃除の洗剤を流し、換気しよく分からないお酒の匂いを取り払った。



「「疲れたー」」


リビングのソファーの上で2人でぐてっと溶けるようにだらけた姿勢になる。


「まさか家に帰って来てから疲れるとは思わなかった」


「そいつはすまぬでござる」


「うむ、よきにはからえ」


テレビをつけてのんびりまったりと過ごす。


「お姉ちゃんやお姉ちゃん」


「なんだね優奈君」


「ダンジョンの話を聞いても良いかな?」


樽の件ですっかり忘れてたけどお姉ちゃんはダンジョン帰りだった。

やっぱりダンジョンの話気になるよね!!


身体を起こしてお姉ちゃんの方を期待を込めて見る。

お姉ちゃんには視線を逸らされてしまった。



「話せることが少なくても良いならば」


姉曰く公開されている自衛隊の情報が7階までである。

それより先のことは守秘義務の関係上情報公開後でしか話せないとのことであった。


「なんだとう?!」


「多分数日後には公表しても良い情報が出るはずだからそこから少しだけ補足してあげる」


「えー……じゃああれは? あの外国のダンジョンのは?」


「その情報は無いみたいだよ。 攻略室の情報を待つよりも、かえってネットの情報漁った方が良いんじゃないかな?」


「そうなの?!」


「それと……優奈、鑑定使えるの黙ってた方が良いよ? 一生鑑定業したいなら構わないけど、そうじゃないなら探索者になっても黙ってた方が良いよ」


「なんで?」


「鑑定できる人が少なくて鑑定しなきゃいけない物が溜まってるらしい。 多分優奈が鑑定できるって知られたらダンジョンに入らせてすらもらえないかも」


「それは嫌だ!!」


守秘義務に当たらない豆知識的なことを教えてもらっていると母が帰宅した。

姉は母に無事に帰宅できたことを喜ばれた。



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「鑑定できる人が少なくて鑑定しなきゃいけない物が溜まってるらしい。 多分優奈が鑑定できるって知られたらダンジョンに入らせてすらもらえないかも」 鑑定人として働くのはありでしょうね。そもそも、鑑定代金…
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