その48
三國「・・・やっと来たか。絶妙な登場だな。」
三國は一人、男性に近づいてそう声をかけた。
男性「仕方ないだろ。時間潰すのも大変なんだ。」
と男性は笑顔で答えた。
吉田「・・・誰だ?あいつ?」
池田「・・・何か、見覚えが・・・?」
とこの時和山が声を上げた。
和山「・・・あっ!!オグっ!!オグかーっ!!?」
その発言にみんな一斉にに反応して、表情がハッとなった。すると小椋が和山他、みんなを見つめて言った。
小椋「ああ。・・・どうやら昔、俺が言った通りに一回戦負け。その上大差で負けたんだろ?
ほら、やってもダメだったじゃん。」
その声を聞いてみんな、小椋だと確信した。ただ長野だけはその発言に苛立った。
長野「・・・オグ、てめぇ、・・・。」
と言って長野は小椋に近寄った。三國はすかさず二人の間に入った。
三國「おい、もう昔の話だ。止せよ。」
畑「そうそう。・・・せっかく来てくれたんだ。よく来たな。」
と畑も小椋に近寄って声をかけた。でももう一人納得してない者がいた。
篠崎「・・・もう一つ、肝心な事があるだろ?一番に言わないといけない事がよ・・・。」
と篠崎は無表情で呟いた。それを聞いて長野も頷いた。
長野「ああ。確かにな・・・。」
小椋は改めてみんなの前に立って、素直に謝罪と反省の言葉を伝えた。
小椋「・・・わかってる。あの時は本当にいろんな事があって、コロナもあって、俺も思わず、
口悪く言ってしまった。どうしたらいいかもうわからなくなって・・・。本当に大変だった。
これが言い訳になるとは思ってないけど、・・・その辺も理解してくれ。正直今日会うか
どうか迷ったんだけど、・・・でもこうしないと大人になれないと思ったんだ。
俺も二十歳だしな。そういう訳でみんな、本当に悪かったよ。すまなかった。ごめんな。」
そして小椋は深く頭を下げた。
吉田「・・・もう良いよ。中坊の時だから仕方がないな。」
和山「ああ。・・・また会えるとは思わなかった。来てくれて嬉しいよ。」
池田「そうそう。よく来たな。話したい事が多々あるぜ。」
そして長野も篠崎も、小椋の言動に心を落ち着かせた。
畑「・・・知ってたのか?」
と畑は三國に尋ねた。三國は首を横に振った。
三國「いや、さっき知ったんだ。さっき会って。で、オグだって。」
畑「じゃあ、誰が今日この日にみんなが合うって事を?」
すると小椋がその質問に答えた。
小椋「タケシだよ。タケシから聞いたんだ。あいつとは度々連絡してたんだ。」
畑「そうだったのか!」
吉田「そうか、タケシは確かに無口で大人しかったもんな。」
和山「逆に口が堅いというか、な。」
小椋の登場に雰囲気が和んだが、今一つ馴染めてない者たちがいた。
富田「・・・何だ?こっちは蚊帳の外か?」
矢西「写真撮るんだろ?彼女も待ちくたびれてるぞ!」