その47
畑「そしたらじゃあ、みんな揃ったから写真撮ろうぜ!」
全員が並んで集まって、写真を撮ろうとしたその時、ふと富田が声を発した。
富田「・・・で、誰が撮るんだ?」
この質問にみんな一瞬固まった。
吉田「・・・そりゃあ、・・・そうだな、そもそも誰ので撮るんだ?スマホは?」
二つ目の質問にもみんな一瞬言葉を失った。
三國「スマホは誰のでも送ればいいから、・・・もしかして自撮りか?」
三つ目の質問にはすかさず篠崎が答えた。
篠崎「おいおい、この人数で自撮りはキツいだろ?枠に入っても・・・。」
池田「別に、ズームすりゃ良いじゃん。」
と池田が答えると、畑が呆れた表情で言った。
畑「はぁ!?ずっとスマホに残すのか!?」
池田「で、良いじゃん。」
畑「ずっと、一生だぞ?それでもか?」
池田「俺はそうする。」
畑「・・・・・・?」
このやり取りを見て長野が決断した。
長野「・・・とにかく自撮りはやめてちゃんと撮った方が良いだろ。」
と言った後長野はこう付け加えた。
長野「・・・となると撮るのは・・・。」
そして長野はふと、畑の彼女に視線を向けた。それに釣られてみんなも彼女に視線をやった。それを見て当然畑が抗った。
畑「ちょっ、ちょっと、ちょっと待てよ。・・・他にいないのか?・・・誰か、
あそこの誰か、向こうにいる・・・。」
そう言いながら畑は周りを見渡した。でも辺りは疎らで、ちょっと向こうに人はいるが、そこまで行って人に声をかけるには、多少の煩わしさをみんなは感じた。
富田「声かけて、いちいち説明して、承諾得るよりも手っ取り早いだろ?」
和山「今のこの状況もわかってる事だしな。」
吉田「別に減ったり奪ったりする訳でもねぇし。まぁ取る意味とは違うけどな。」
和山「うわっ!それダジャレか?寒い、寒いぜ!」
富田「やっぱり相変わらずオヤジだな、何でもしつこいし・・・。」
吉田「うるせぇ!絶対に忘れねぇからな、今の言葉!」
そんな状況の中、長野は畑に問い掛けた。
長野「まぁとにかく。で、どうなんだ?」
続けて三國も彼女に尋ねた。
三國「そういう事だけど、彼女さんはどうかな?」
畑「・・・・・・・・・。」
畑が答える前に彼女が決断した。
彼女「ええ、良いですよ。全然、はい。」
と彼女は快く引き受けた。それを見て畑はちょっと困惑した。でも彼女の方から質問があった。
彼女「・・・撮るのは、私ので?」
すると次の瞬間、畑は大いに抗った。
畑「ダメダメダメダメダメダメェーっ!!何で人の彼女のスマホで撮らなきゃいけないんだ!!?
カメラマン扱いされるだけでも歯痒いのにふざけるなぁーっ!!」
矢西「・・・カメラマン、じゃなくてカメラウーマンだな。」
と矢西が冷静に言い返した。
畑「どっちでもいい!!関係ない!!とにかくダメだぁーっ!!」
感情込めて抗う畑に向けて、みんなは諭した。
篠崎「そんな心配する事なんかねぇよ。」
富田「別にプライバシーとか、盗む事もしねぇよ。」
吉田「もう公認してるから。大丈夫だ。」
池田「あ!でもIDとかはわかるかもな。」
和山「じゃないと送れないだろ。」
それを聞いて畑はますます大いに抗った。
畑「ダメダメダメダメダメダメェーっ!!絶対にダメェーっ!!」
それを見て三國は、ポケットからスマホを取り出した。
三國「・・・ふぅ、わかった。じゃあ俺ので・・・。」
と言ったその時、遠くから男性の声が、三國だけでなくみんなにも聞こえた。
男性「もし良かったら、俺のでどうかな?・・・アレだったらカメラマンも引き受けてやるぜ。」
みんなは声の方に視線を向けた。すると段々こっちに近づいてくる、若い男性の姿が見えた。