その39
池田「焦んなっ!!慎重にっ!!」
吉田「落ち着け!!回せ回せっ!!」
長野「周り見ろっ!!こっちだこっちっ!!」
これが最後の攻撃になる。その上最後の試合になると、志田原中の選手たちは思っていた。だからとにかく時間を使って、喜多ヶ丘中の守りを崩そうとプレイしていた。
三國「行ったぞっ!!走れっ!!」
篠崎「OKっ!!まだ立て直せるっ!!」
キタ中の選手たちボールを奪われつつも、体力と集中力を振り絞って、志田原中の選手たちはボールを奪い返して、何とか攻撃の起点を構築させていた。
畑「・・・あと何分だ?」
と畑は前線の様子を見ながら、傍にいた和山に聞いた。
和山「・・・え?」
和山も真剣に前線の様子を見てたので、この時間を把握してなかった。
畑「もうアディ出たろ!?何分だっ!?」
和山「・・・え?・・・ええっと、ええ・・・?」
もうすでに通常の試合時間は終わっていた。なので今はアディショナルタイムに突入していた。
大里「・・・確か、四分だったぜ!」
と大里が二人の会話に入って来た。それを聞いて畑は決断した。
畑「・・・だったらもう、ディフェンスは無しだ!!全員で前線、攻撃に参加するぞ!!」
これを聞いた和山は当然驚いた。大里はキョトンとした。
和山「えっ!!?マジかっ!!?」
大里「・・・そうなると高藤一人になるぞ?」
二人の疑問に畑は強い口調で言い放った。
畑「これがもう最後なんだぞ!!試合も部活も!!それをここでジッと見てられるのか!!?
それにミクが言ったろ!?後半じゃなくて一つの試合だって!!
一点取られた、でもこっちが一点取ったら負けじゃないだろ!!?
せめて引き分けに持ち込むんだ!!一点、たった一点、全力で取るんだっ!!」
そう言って畑は走り出して、前線へと向かった。
和山「・・・一点取れないまま、終われないもんな!!」
畑の言葉を理解して、和山もそう言って走り出した。大里も何となく前に走り出した。
畑「リュウっ!!!」
この時長野がボールを持っていた。そして攻めあぐねていた。そこに畑が声をかけてきたので、長野は畑にボールを渡した。
長野「おうっ!!」
これを見て志田原中のオフェンス陣たちは、何かを理解した。
三國「ラストっ!!ラストチャンスだっ!!」
篠崎「総攻撃って事ねっ!!」
池田「よしっ!!じゃあ切り込むぞっ!!」
吉田「OKっ!!」
この時アディショナルタイムは二分になっていた。