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その32

 後半が始まろうとしていた。もうすでに喜多ヶ丘中の選手たちは、準備を整えていた。四点差からのスタートに、やはり志田原中の選手たちは、やる気も覇気も失った表情をしていた。そしてダラダラと足取り重く、選手たちはピッチに入った。


吉田「・・・はぁ~、現実逃避したくなるよな?」

池田「・・・全く。サッカーにもコールドがあったら・・・。」


 と二人がそんな会話をボソッとしていると、それが聞こえた畑が、おもむろに二人に近寄った。


畑「何言ってんだ!?今度またそんな事言ったらぶっ飛ばすからな!」


 と険しい表情で二人に言い放った。


池田「・・・じゃあどうしろって言うんだ?・・・何か策でもあんのかよ?」

畑「・・・・・・。」


 この三人の所に篠崎が近寄った。


篠崎「・・・だって仕方がねぇだろ?これじゃあよ。・・・どうモチベを出せって言うんだ?」

池田「・・・そういう事だぜ。・・・勝ち目がねぇしよ。」


 そう言って篠崎と池田は、自分たちのポジションへと移動した。


畑「・・・何だよ!そんな気持ちで今からやろうって言うのか!?」


 普段は温厚な性格の畑が、珍しく大声上げて激高した。その様子に一部のチームメイトは驚いていた。主審もそれを見て心配を感じて、畑に近づこうとした時、三國が主審を遮った。


三國「大丈夫です、すいません、すいません。・・・何でもないです。」


 その後三國は畑の傍に駆け寄った。


三國「・・・なぁ、お前がそうなったらもう終わりだぞ。・・・没収って事になる。」


 と三國が心配そうに伝えると、畑は我に返って感情を抑えた。


畑「・・・ああ、そうだな。・・・悪かったよ、すまん。」

三國「・・・とにかく、俺はまだ諦めてないから、しっかり最後までやろうぜ。」


 それを聞いて畑はにっこり笑って答えた。


畑「・・・さすがキャプテンだな。ミクがキャプテンで良かったよ。」


 そう言われて三國も笑顔で返した。


三國「・・・さぁこれからだ。まだまだ終わってないからな。」


 と言って三國はグランド中央へと向かった。三國が来る前から先に、その近くで待機していた長野が、ポツリと三國に呟いた。


長野「・・・キレたあいつを初めて見たよ。それだけでもやって良かったな。」


 そしてダラけた態度をしていた長野に向かって、三國は無言で長野を強く睨んだ。それに気づいた長野は三國にこう言い返した。


長野「・・・おいおい、何だよその目は?向こうだろ、その視線は?」

三國「・・・これで良いのかって事だ。お前自身がな。」

長野「この状況で説教か?もう始まるんだぞ?」

三國「・・・だったらシャキッとしろ!最後なんだからな!」

長野「・・・覚悟を決めたか。・・・そうだな、わかったわかった。」

 

 そして後半戦が開始された。

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