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30/50

その30

篠崎「慎重に!慎重にな!」

長野「こっちだこっち!こっちにボール!!」

吉田「まだまだ!焦るな!」


 こうやって声を出し合い、時間をたっぷりと使って志田原中は、喜多ヶ丘中のエリア内で攻撃のチャンスを伺っていた。しかしどうしても一ヶ月間の急造チームななだけに、そのパスワークの乱れを突いて喜多ヶ丘中にボールを奪われた。


富田「あちゃぁ!!ディフェンス!!ディフェンス!!」

三國「ハリアップ!!戻れ戻れ!!」

畑「ダッシュ!!守ってくれ!!」


 その掛け声叫びも虚しく、正確なパス回しとドリブルと、連係プレーによって喜多ヶ丘中に点が追加された。まだ前半、始まってまだ十五分の時点で三点取られてしまった。


富田「・・・3点、差。・・・卓球だったら何てことないんだけどな。」


 そう言った富田の見える視界には、疲れ切った志田原中の選手たちであった。その内の何人かは、もうすでにグロッキー姿で、無言でとぼとぼと動いていた。


岸「おいっ!!!どうしたーっ!!!?そんなもんか、お前たちはっ!!!」


 と岸が突然大声を張り上げて、選手たちに檄を飛ばした。それを聞いた志田原中の選手たちは、何とか気持ちを奮い立たせようと、果敢にゲームに集中した。


主審「・・・ピピピピーッ!!!」


 そして前半が終了した。3点差から形を整えて、攻撃よりも守りを重視した結果、それでもこの時点で志田原中は、4対0という大差で負けていた。


篠崎「・・・ああ!チキショー!!何なんだよ!!これ!!?」

長野「クソッ!!クソッ!!・・・何でだ!!?」


 当然控室では、志田原中の選手たちの不満が爆発していた。悔しさと歯痒さ、苛立ちと虚しさを誰もが醸し出していた。


畑「・・・全く、ヤバいな。」

池田「・・・はぁ~、マジかよ、4点差。」

和山「・・・何か、オグの言った通りだな・・・。」


 と思わず漏らした和山の言葉に、すぐさま長野がブチ切れて和山に詰め寄った。


長野「何だ!!ああーっ!!何であいつの事なんか言うんだ!!?今カンケーねぇだろ!!」


 和山は顔を引きつらせてとにかく誤った。この様子を見て三國が慌てて間に入った。


三國「辞めろっ!落ち着けっ!!落ち着けって!!」


 次に吉田がポロッと三國に尋ねた。


吉田「・・・落ち着けるかよ、これで?どうすんだ、後半・・・?」

三國「・・・・・・。」


 そう言われて三國は何も言い返せなかった。前半の負けはこれまで幾度とあったが、4対0という状況は、今まで経験した事がなかったからだ。

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