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その25

長野「いや、その、何で、途中から入部して来たのに、お前とこんな仲になったのか、

   それをふと思い出していたんだ。」


 富田が戻って来るまでの間、それまでの回想をしていたと、長野は素直に伝えた。


富田「なるほどな。確かに俺は三年の時に入部したよ。でもお前が高校で辞めた時、ミクに連絡した

   よな?その時ちょうどミクと同じクラスだったから、一緒に会おうってなった訳さ。」


 それを聞いて長野は、その当時の事をどんどん思い出してきた。


長野「あ!そうだったそうだった!ああ、あの時か!」

富田「ちょっと静かにしろよ、周りに見られてるぞ。」


 この時二人に周りの視線が注がれていた。長野は少し委縮した。


長野「ああ、思い出してきた。そうかそうか。」

富田「修洋館高校だったよな?あんなレベルの高いサッカー部で、やっぱり辞めたと聞いてよ、

   だから俺たちは慰めに行ったんだよ。落ち込んでるだろうからってさ。」


 この話に長野は一部を否定した。


長野「ああ、辞めたけどでも、別に落ち込んではなかったし、レベルの違いに断念した訳じゃない。

   他の別の事で仕方なく、そうなっただけだ。」

富田「・・・別の?」


 そう富田が聞き返すと長野は、敢えて違う話を展開し始めた。


長野「それはもうこっちの、俺の事情があっての事だ。それよりお前、

   高校で部活はしなかったのか?」

富田「ああ、してないな。運動系は中学の時、経験したからもういいかってなって、

   文化系も、なんかちょっと青春ぽくないなっと思ったからな。」

長野「・・・で、帰宅部か?」

富田「コロナ禍だったしな。それで志望の大学にも入れたし。」


 そう言ってニンマリした富田を見て、長野は少ししらけてしまった。


長野「・・・あ、そう。・・・そうなんだ。」

富田「・・・でもあの時、志田中のサッカー部の時が一番楽しかったよ。本当短い間だったけど、

   あの時がもの凄く楽しかった。だからこそこうしてみんなと会ってんじゃねぇのか?」


 そう笑顔で言った富田を見て、長野はこの時は同じく笑顔で答えた。


長野「・・・そうだな。俺も正直、あの頃が一番楽しかったよ。まさかこうして続くとはな。」


 すると二人して志田原中学校サッカー部の、思い出話をし始めた。



三國「あのさぁ、大丈夫か本当に?プレイ見た事あるけどどうなんだ?」


 と三國は心配しながら富田に言った。クラスメイトなので当然、体育の授業でサッカーもある。その時三國は富田のプレーを見ていた。正直普通とも言えないくらいのレベルであった。


富田「確かにな。でも、俺の気持ちは変わらんぜ。練習していきゃ使いものになるだろ?」


 そう言った富田の性格も、三國は知っている。取り合えずお調子者だが、性格は真面目で協調性もある。熱い部分もあるし、そう言った上での責任感として、ある程度は納得できる。とここへもう一人、同じクラスである和山がやって来た。


和山「・・・けどでも何で?そもそも体力あんのか?」


 と和山も不審な表情で富田に言った。すると富田はムッとした表情をして、二人に言い返した。


富田「おいおいおい、卓球部だからって舐めんなよ!俺だってやる時はやるからな!」


 その声に反応して、たまたま近くにいた長野がボソッと漏らした。


長野「でもよ、卓球なら卓球的な、それに見合った感じのヤツ、テニスとか野球とか・・・。」


 長野がまだ言い終わってない時に、富田は長野を含めて三人に向かって、こう言い放った。


富田「何だよ!?嫌なのか!?俺はただ、お前たちの力になりたいと思って入部したのによ!」


 そう言われて三國や和山、長野もこれ以上言い返す事はできないと、心の底から思った。これが本音かどうかは置いといて、“お前たちの力になりたい”の一言を聞いたら、あとはもうよろしく頼むと言う以外に、他の言葉が全く出て来なかった。

 

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