その24
この発言を聞いて畑が二人に詰め寄った。
畑「おいっ!勧誘禁止じゃなかったのか!?」
和山「誘ってない誘ってない!!」
和山は慌てて否定した。三國は富田に言い放った。
三國「ちょっと!お前なんか誘った覚えないぞ!」
和山「そうそう!クラスメイトで仲良いけど、誘う訳ないじゃん!」
和山も三國に続いて、富田の発言を否定した。でも富田はにっこり笑って、元気よく張り上げた。
富田「それでもサッカーは大好きなんで!一生懸命やります!自信はあります!
よろしくお願いします!」
それを聞いて三國と和山は、正直不穏な表情になった。周りの部員たちも呆れた感じになった。しかし岸はこう言って、この場の雰囲気を締めた。
岸「そういう訳だ!まぁ、いろいろとギクシャクする事もあるかも知らんが、とにかく仲良く、
サッカーはチームワークが大切だからな!それに大会に臨むんだから、一層の団結力も
必要になる!」
そう言うと岸は、ふと新入部員を見て言った。
岸「わからない事があったら、隠さずに聞けよ!わからないままじゃ次に進めないからな!」
そして今度は部員たちに向けて、岸はこう言った。
岸「新しく入ったからとはいえ、先輩後輩は関係ない!みんな仲間なんだから、お互いを
理解し合うように!意識の共有も大事だからな!逆に質問もして、環境の違いとか効率とか、
良い練習方法とかがあれば、それを尊重するかも知れない。だからみんなもポジティブに、
前向きにやって行くぞ!いいな!?」
サッカー部員全員「はいっ!!」
岸「じゃあ早速練習だ!!」
岸の号令でサッカー部の練習が始まった。
富田「・・・おい、どうした?」
その声に反応して、長野はふと見上げた。そこには二十歳の富田がいた。
長野「・・・あ、ああ。」
この時長野は我に返った。そして長野は立ち上がって、富田に通路を開けた。その席に座るや否や富田はこう問いかけた。
富田「・・・どうした?不思議そうな顔をして?」
長野は富田の顔を見て、冷淡に答えた。
長野「・・・いや、別に。・・・そう言えば、・・・ミクと同じ高校だったよな?」
富田「・・・おう。・・・あ、そうだ、ミクはまだなのか?」
聞かれて富田は辺りを見渡した。三國はまだ席を外していた。
長野「・・・よほど過去の思い出が嫌だったんだろうな。出会った奴が・・・。」
富田「・・・ん?どういう事だ?」
長野「同じ高校だったら知ってるだろ?ミクが部活を途中で辞めたって事。」
それを聞いて富田は一瞬考えた。そして発言した。
富田「・・・まぁ、でもそんな、大した事じゃなかったはずだぜ。・・・あの頃お前も
辞めたじゃん、サッカー部を。・・・そうだろ?」
長野「・・・ああ、そうだったな。」
と長野はここでふと思い出した。
長野「・・・あ、そうか。その時にお前もいて、そしてつるむ様になったのか。」
富田「ん?何言ってんだ、お前?」
長野がハッとした表情で言ったのに対して、富田は理解できない表情をしていた。