その23
三國「先生、そうなると三年は、この時点で四人足りない事になりますけど・・・?」
三國はふと数え直してその事を、岸に伝えた。岸も改めて数えて、言葉にした。
岸「・・・そうだな。四人。それを他の部の者で補う事になるかな。」
吉田「実はもう、決まっていたりして・・・。」
と吉田が口を滑らせた。それを聞いた岸は全く否定した。
岸「いや、それはない。これから募集して、・・・恐らく一週間はかかるだろう。」
畑「・・・そして合流ですか?・・・ちょっと時間が短いですね。」
池田「ああ、急すぎるぞ。」
この二人の言葉にも岸は返した。
岸「確かにな。一応その理由を聞いた上で俺が選考するから、ただやみくもに選ぶ訳じゃない。」
それを聞いて篠崎が神妙に尋ねた。
篠崎「・・・逆にこっちから誘うって事は、有りですか?」
すると吉田が素早く理解して反応した。
吉田「あ!なるほど、逆にスカウトするって訳だ!」
畑「え!?そんな目ぼしい奴がいるのか?」
畑の言葉に篠崎は含みを匂わせた。
篠崎「まぁ、・・・いない事もない。ちょっと心当たりはある。」
三年生たち「へぇ~。」
他の三年生たちが篠崎の発言に反応してる中、岸は冷静に答えた。
岸「だがそれもしない方がいい。あくまで本人の意思が大前提だ。
無理に誘って、そしてやってもしょうがない。」
そう聞いて三年生たちは少し落胆した。
岸「まぁ経験があったら、それに越した事はない。ひとまずは、募集をかけてからだ。」
こうして志田原中学校サッカー部は、2020年の最後の大会は、他の部の三年も合わせてた混合チームとして、参加する事となった。
それから一週間後、新しくサッカー部に入る者たちが決まった。この日の放課後、練習前にその者たちが集められ、部員全員に披露された。新入部員は五人。特に三國と和山は、その中にいる一人の人物を見て、大いに驚いていた。
岸「これから新しく、サッカー部員として練習する者たちだ。ひとまず自己紹介をしてもらおう。」
岸に促されて、その者たちは部員全員の前で、一人ずつ自己紹介を行った。
大里「ハンドボール部の大里と言います!自分はサッカーは、学校の授業とか遊びで
やった程度ですが、走る事には自信があるので、どうかよろしくお願いします!」
高藤「バレー部の高藤です!え~、自分もサッカーの経験は、授業とか遊びとかですが、
この長身を活かして活躍したいと思ってます!よろしくお願いします!」
矢西「・・・バスケ部の矢西です。サッカーは小学生の時に、やってた程度ですが、
それでも力になれればと思って入部しました。頑張りますのでよろしくお願いします!」
港「え~、港と言います。バトミントン部ですが、サッカーも好きなスポーツで、テレビも
よく見ます。迷惑かけないよう頑張ります。よろしくお願いします!」
と四人の、他クラブの三年生たちが挨拶した。それを見てサッカー部員全員が、拍手で歓迎の意を表した。一人ずつ挨拶する毎に拍手した。そして最後にいた一人で、挨拶が終了する。
富田「ええっと、卓球部の富田です!クラスメイトの三國君と、和山君に誘われて、
今回の決断になりました。」
それを聞いて当然、三國と和山は驚き、そして声を上げた。
三國・和山「ええええっ!!!!?」