その2
三人は志田原中学校の卒業生でもあり、同級生でもありクラスメイトでもあった。やがて彼らは市民会館の裏手にある、とある一角へと着いた。するとそこには同じ年齢らしき、若い男性が一人で佇んでいた。距離にしてまだ離れていたが、彼と彼らの視線がふと合った途端、急に長野が声を上げた。
長野「・・・おいおい、ヨッシーか?・・・ああ!ヨッシーじゃん!」
それを見てその声を聞いて、彼である吉田が、長野と同じように声を発した。
吉田「ああ!リュウ!?リュウか!?」
三國も富田も吉田に笑顔を見せながら、四人は再会を果たした。
三國「おお!元気だったか!?久しぶりだな!?」
富田「で、お前一人か!?」
吉田「いやあいつ、畑もいるんだ。さっきそこで会ってさ。今ちょっと外してるけど。」
その名前を聞いて長野が驚いて見せた。
長野「おおっ!畑!いるんだ、あいつも!?」
それを聞いて三國は冷静に答えた。
三國「・・・そりゃいるだろ、副キャプテンだからよ。」
そして吉田は富田を見て、懐かしく言葉をかけた。
吉田「あ、トミか?・・・お前、あの時の俺のジュース、黙って勝手に飲んだだろ?」
富田「何だよ!お前あれから何年経ってんだ?しつこいぞ!」
と富田は呆れて言葉を返した。しかし吉田は怯まずにはっきりと伝えて見せた。
吉田「いいや、今でもしっかり覚えているし、昨日のように思い出す。もう一生忘れん!」
その言動に長野と三國は大爆笑していた。そんな中この四人に向かって、近づいてくる三人の男たちがいた。同じくキチンとしたスーツを着こなして。
畑「お待たせ!・・・おっ?もしかしてリュウにミクに、トミーか?」
当然三國も長野も富田も彼らに気づき、定番のセリフを言い合った。
長野「あ!久しぶり!・・・全然変わってないな、お前!」
畑「お前こそ全然じゃん!でも、確か関西じゃなかったか?いつ来たんだ?」
長野「一昨日だ。今日急に来れるかよ!?」
三國「矢西にシノ、だよな?」
矢西・篠崎「おおっ!キャプテンじゃん!」
富田「昔はよく合ってたのに、・・・今はもうなかなか難しいな。」
篠崎「あ!トミーだ。よくもあの時俺のケツに、ボールを当てたよな!」
と少し感情を込めて富田に伝えると、富田はこれまた呆れて言葉を返した。
富田「何だもう。俺との思い出はそんな事ばっかりか?全くいい加減にしろ!」
それでもここにいる七人は、笑顔でその当時の事を語り合っていた。
長野「・・・で、ええっと、今ここには七人で・・・、あと誰だ?何人だ?」
長野が冷静になってみんなに尋ねると、まず畑が答えた。
畑「タカシに、ワヤンに、・・・池ちゃん?」
篠崎「タカシは無理だ。今あいつカナダにいるからな。」
三國・長野・富田・吉田「カナダ!?」
驚く四人に向けて、篠崎が説明した。
篠崎「まぁ留学ってヤツよ。頭良かっただろ?特に英語は。」
富田「確かに。外人にも平気で交流してたしな。」
吉田「確か、港っていたよな?」
矢西「そいつは東京の大学行ったそうだぜ。」
長野「えっ!東京?もしかして早稲田慶應?」
矢西「そこまではわからんけど、東大じゃないって事は間違いない。」
長野「だよな?そんなヤツが俺たちと関わる筈ないもんな。」
三國「・・・そこまで落とさなくても良いだろ。」
富田「池ちゃんとワヤン、か?」
長野・吉田・篠崎「全くわからん。」
畑「・・・それだけ?」
三國「いや、ダリーに高藤。その四人かな?」
これには篠崎と矢西が大いに反応した。
篠崎「ダリーに高藤、いたいた、確かにいたよ、うわぁ懐かしい!」
矢西「本当にもう、言われなきゃ思い出せないよ。二人には悪いけど。」
畑「そしたらその四人?」
三國「・・・そうなるな。」
と言いつつも、三國は心の中で何か可能性を願っていた。
こうして後に合流してきた四人も、みんな志田原中学校の同級生で卒業生である。また彼らの会話の中で出てきた人物たちも、もちろん志田原中学校の同級生であり卒業生である。そしてなおかつみんな、実は志田原中学校のサッカー部のОBなのである。