その18
放課後長野と畑は揃って、サッカー部の部室へと行った。そこには他の三年生たちや一、二年生たちもいた。
一・二年生たち「お疲れ様です!!」
畑「あ、ああ、お疲れ。今日もしっかり練習しろよ!」
一・二年生たち「はいっ!!」
後輩たちとのやり取りをしていた畑をよそに、長野は先に来ていた池田や吉田に尋ねた。
長野「二人だけ!?他は?」
吉田「さぁ?とにかく集まれって事で・・・。」
池田「・・・何か怪しいけどな。」
そう言われて長野は少し不安になっていた。ここで畑も話に参加した。
畑「・・・これだけ?・・・キャプテンもいないぞ?」
吉田「だよな。ミクから言われて来たのに・・・。」
池田「まさか言い出しっぺが来ないとか・・・?」
長野「それはちょっと人間として失格だぞ。」
と四人が神妙な顔つきになってる時、篠崎と和山が揃って部室に来た。
後輩たち「お疲れ様です!!」
篠崎・和山「おっ、お疲れ!」
この後後輩たちは次々と部室から出て行った。そして残ってる者はあの四人だった。
篠崎「おおっ、久しぶりだな!元気だったか?」
吉田「・・・昨日、体育の授業で一緒だったじゃねぇか・・・。」
篠崎「ああっ!そうだったな!三組四組合同授業だったな!」
畑「・・・あれ?ワヤン、ミクと一緒じゃないのか?」
和山「ミクはまず、先生の所に行ってるよ。先に行っててくれって。」
畑「あ、そう。」
長野「そうかそうか。」
池田「だったら絶対に来るな。」
和山「で、途中シノに会ったから。」
篠崎「ん?何だ?」
長野「いや別に。とにかくあとは誰だ?」
畑「・・・オグはあれだけど、・・・タケシだよな。」
タケシとは大谷の事である。それについては篠崎がこう言った。
篠崎「タケシだったら受験に専念するって。だから参加しないって。」
吉田「げっ!?勉強を優先するのか?」
篠崎「アイツ私立の進学校目指してるからな。」
畑「まぁ、もともと頭良いしな。」
池田「それで更に良いところにって事か。」
長野「・・・と言う事は、あとはミクだけで・・・。」
和山「それで全員って事だな。」
長野「おいっ!そのセリフは俺が!!」
とこのタイミングで三國が独り、遅れて部室にやって来た。でもしかしあんまり浮かない表情で、みんなと対峙した。
三國「・・・急に悪かったな。呼び出して・・・。」
みんなはその発言よりも、この三國の表情と口調の重さに引っかかった。
長野「おい、どうした?何かあったのか!?」
次に三國はみんなの顔を見渡して、変わらぬまま伝えた。
三國「これで全員か?」
畑「ああ、そうみたいだ。それよりも・・・。」
この後も畑が何か言おうとした時、それを遮って三國は言った。
三國「そしたらじゃあ、そのままで取り合えずグランドに。そこで先生が話すから・・・。」
そう言うと三國は徐にグランドの方へ向かった。それを見ていた一同は、とにかくそのままの姿でグランドへと行った。ちなみにグランドとは運動場の事である。