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愛する猫と異世界へ  作者: 絵濡亥 家尾
クラエン大森林
76/80

74話 改造

 僕とロルエさんは森の中の煙の上がっているところまで急ぐ。

 モコとキキョウが心配だ。確かに何かあった時、森の動物たちを守るために置いてきたが、いざそういう状況になってしまうと、心配で仕方がない。


 心臓の音がうるさい。ドックン、ドックンと耳に響く。


「ヒナタ、落ち着きなさい」

「落ち着きなさいって! 無理に決まってます! だって・・・」


 だってモコとキキョウが・・・


「落ち着きなさい!」

「ビクッ」

「はぁ、私の運を信じなさい」

「・・・はい」


 今は信じるしかない。

 そうするしか、そうすることでしか、今僕自身を落ち着かせる方法がない。

 例えそれが、ロルエさんの口車に乗せられたのだとしても。


「ふぅふぅ」

「少しは落ち着いた?」

「はい」

「そ、なら上を見なさい」

「?」


 上を見ると、雲の上に何かいる。雲の白色に紛れていて、よく見ないと分からないが白い何かがいる。


「多分あれが私たちが気づかなかった理由よ、恐らく改造従魔」

「改造従魔?」

「一般的には身体を悪くした従魔に改造を施して元気にするっていうものよ。だけどあれは・・・馬に無理やり翼を生やしてペガサスを模してるわね。立派な違法改造よ」


 要は足なんかを悪くした従魔の足を改造? して再び歩けるように、目を悪くすれば目を改造して再び見えるようにするという夢のような技術があるらしい。


 帝国はその技術を悪用して、馬に無理やり翼を生やして、今僕たちの頭上を飛んでいるらしい。

 しかも元々なかったものを付けるのは、動物に相当の負担をかけるため108国会議で禁止されている行為らしい。


「ヒナタ、ヒナタ! 大丈夫?」

「あ、はい」

「もうすぐそこよ! 気を引き締めて!」

「はい!」


 煙がもうすぐ目の前に来る。焦げたような匂いが鼻にツンツンと来る。

 モコの首輪についている機能で、モコと目の前の煙の位置と一致する。恐らくキキョウもそこにいるだろう。


 目の前の煙を振り払いながら、モコとキキョウを置いてきたところにたどり着く。


「これは・・・」


 モコがいるはずのところに、なにもなかった。誰もいなかった。


 そこにあったのは、首輪・・・モコについてるはずの首輪。

 この世界に来てモコに着けた新しい首輪。

 首輪が落ちていたところには血がぽたぽたと垂れたあとがある。

 誰の? 一体誰の血?


「・・・モコ・・・モコは? キキョウは?」

「・・・・・・」


 どこ? どこにいったの? なんも考えられない。なんも感じない。


「ガルルルァァ!!」「グルルァァ!!」


 と近くからモコとキキョウの声が聞こえた。


「ちょっ! 待ちなさい!」


 僕はいてもたってもいられなくなり、声が聞こえた方へ走り出してしまった。





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