64話 救援
「順を追って説明する!」
「はい」
「まずはこれを見てくれ!」
とスーくんの手には水晶のようなものがいつの間にか握られていた。
そして水晶から空中に映像が映し出される。
映し出されたのは、赤? いや炎か?
森に炎が放たれている映像が見える。
次に画面が変わり炎の中、逃げ惑う動物が見える・・・鹿や鳥、狼から・・・猫までいる。
そしてあれは・・・人間? 人間が動物を捕獲している。
「なんですか! これ!」
「遠くない未来で確実に起こる事だ!」
「遠くない・・・未来?」
遠くない未来で確実に起こる事? ということはまだ起こってはいないのか、良かったと言うべきかなんと言うべきか分からない。
「もしかして救ってほしいというのは、この動物たちのことですか?」
「そういう事だ! そしてこれには続きがあってな! まぁ見てくれ!」
と映像がまた再生される。
次は恐らく捕獲が終わったあとだろうか。炎が雨によって消え、森の奥が闇に閉ざされる。
そこにはなんとか生き残った動物たちが集まっている。中心には妊娠している・・・翼がある猫? それを渦巻く黒い霧。
「これは・・・」
「日向は過去にも見た事があるはずだ」
「じゃあやっぱりそうなんですか・・・」
「ご想像の通り、瘴気によって第2のキキョウのような物が生まれようとしている、しかも今度は竜種なんだ」
「竜種なんですか? 僕には猫に見えたんですが」
「竜種の中でも猫に近い種だからね、人間はドラネコと呼んでいるね」
ドラネコ! 悪い猫の事かと思ったら、ドラゴン猫の略なのかな?
「それで、受けてくれるかい?」
「それはもちろん」
キキョウのように辛い思いをすると分かっていながら、それを無視するなんて僕にはできない!
「もちろん受けさせて貰います!」
「そう言ってくれると思った!」
でもなんで僕にこの話が来たんだろう? と思っていると
「d(≧▽≦*)」
とニールちゃんがグーマークを出してこちらを見ている。スーくんもニヤニヤしている。
「ニールが君なら受けてくれると言ってな」
「まぁ受けますけど! 猫も動物も好きだから!」
「流石猫愛好家! よく言った!」
「モコとキキョウも良い?」
「にゃ!」「・・・みゃ!」
「よし! じゃあ行こう!」
「じゃあ場所を地図に示しておくから、そこに向かってくれ、着いたらニールに連絡を忘れずに! まだ大事な事があるからな!」
「日向たちにゃらできるにゃ! 気合い入れるにゃ!」
「はい」
「にゃん!」「みゃ!」
そう言うと目の前が光に包まれる。ここで僕は意識を手放した。
「本当に日向は大丈夫なのか? “あいつ”の二の舞にならないのか?」
「大丈夫、私が保証するよ」
「ボクも〜なんか〜分からないけど〜良い人と猫だと思ったよ〜」
「そうか・・・頼んだぞ日向」
neconeconeconeconeconeconeconeconeconeconeco
あちらで意識を手放したあとすぐに僕たちは宿屋のベッドの上で目が覚めた。モコとキキョウは僕の股の間で抱き合って寝ている。可愛い。
とりあえずサバイバルブックをアイテムボックスから取り出す。
「サフィちゃん!」
「はい、ニール様から聞いております、場所はここから1750km先、リュクシルン国、ガンダロス帝国と秋桜国の3カ国の間に位置するクラエン大森林が目的地になります」
「ありがとう、じゃあ早速向かおう、クラエン大森林に」
「にゃん!」「みゃ!」