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愛する猫と異世界へ  作者: 絵濡亥 家尾
リュクシルン国 王都
57/80

56話 大人と子供

「ヒ、ヒ、ヒナタさん!? なんでここに!?」


 シヴァン様は、驚きながらこちらを見てくる。


「え〜とシヴァン様の二次誕生日会? をやりに?」

「そ、そうですか・・・」

「はい・・・」


『・・・』


 話題が繋がらず無言の時間が続く。

 先程歩いてきた廊下から歩いている音が聞こえた。


「あれ〜二次誕生日会の会場ってここですか? 陛下?」


 後ろを振り向くと、私と同じ黒髪で真っ黒のローブを着て、半分狐、半分狸の仮面を被った全身黒ずくめの男が立っていた。


「合ってるよ、ロルドメンス・カトリアット公爵殿」

「あれ! リュジンちゃんじゃん! そんな堅苦しい呼び方やめてよ、気持ち悪い!」


 その格好からは想像もつかないほど、フレンドリーな雰囲気だ。

 しかも公爵というのだから、恐らく相当偉い人だ、


「いや〜ごめんごめん、ヒナタちゃんもいるから、紹介しないとと思ってね」

「ん? ヒナタちゃん? 」

「あ、ヒナタと申します、よろしくお願いします」


「・・・・・・イヤァァァ!!」


 挨拶をするとリュジンさんの後ろへ『シュッ!』と隠れられてしまった。


「ロルド、ヒナタちゃんに挨拶は?」

「・・・・・・」

「ロルド!」

「だって! 今回は・・・仲良しだけ・・・だと・・・思ってたから」


 リュジンさんに隠れて、モゴモゴと喋っている。

 確かに、友達のパーティに知らない人がいたらちょっと話しにくいよね。


「ロルド!!」

「分かったよ・・・」


 黒ずくめの男の人は私の前に立ち、挨拶をしてくれる。

 正面から見ると首元に赤く光る刺青が入っている。


「ロルドメンス・カトリアットです・・・一応公爵・・・です」

「はい! よく出来ました! 次にヒナタちゃんお願い」

「はい改めまして、ヒナタと申します。こちらの従魔はモコとキキョウと申します、よろしくお願いします公爵様」

「にゃん!」「みゃ」


 モコとキキョウを紹介すると、ロルドメンス様の目が輝いき、モジモジしだした。


「ねぇ、その猫は・・・その・・・触っても良いのかい?」


 どうやらモコとキキョウに触りたいらしくて、モジモジしていたようだ。


「もちろん大丈夫ですよ、モコ、キキョウも良い?」

「にゃん」「・・・みゃ」


 モコとキキョウは、公爵様の傍に寄る。

 公爵様は、ゆっくりと怯えながらモコとキキョウを両手で撫でる。


「ふんふんふん、ふわふわだ〜」


 公爵様は一頻(ひとしき)り撫で終わると


「うん、ありがとう」


 と丁寧にお礼をしれくれる。

 そういえばこの人の事を会場で見かけなかったな。こんな目立つ人がパーティ会場にいたら目立つと思うのだが


「いえいえ、それより公爵様」

「ロルドでいいよ」

「ではロルド様、先程のパーティ会場に居ましたか?」

「それは・・・」


 もしかして、なんか喋ったらいけない理由でもあるのだろうか。


「いや! 喋れない内容ならいいんです!」

「・・・それはだな・・・」


『アッハッハッ!!』


 リュジンさんと陛下の笑い声が響く。


「いや〜ヒナタちゃん、ロルドは知らない人に話しかけられたくないから、会場の隅でコソコソしてるんだよ! ふふ」

「は、はぁ」

「なんで言うの! リュジンちゃん最低!」


 ロルド様は、怒っているようだが仮面のせいで顔が見えない。ただ耳が赤くなっているのは見える。


「まぁまぁ落ち着いて、さて役者も揃ったし、二次誕生日会を始めようよ!」


 リュジンさんがロルド様を軽くあしらい、話を進める。

 そして全員が座席に着く。

 私は、リリン様とシヴァン様の隣の席に座る、リリン様の隣にはマリーちゃんが座っている。

 私の正面は、王様と王妃様が座っている。

 正直、私にはここが場違い感があり、申し訳なく感じる。


「さぁ! じゃあシヴァン様、お願いしまーす!」


 リュジンさんから急な無茶振りがシヴァン様へ飛んでいく。


「え? えぇ? え〜と乾杯?」


『かんぱーい!!』


 そう言って二次誕生日会が始まる。


「ヒナタはお酒は飲めるのかい?」

「すみません、飲めないです」

「おぉそうなのか、大人っぽいから飲めるかと思ったぞ」

「そういえばヒナタちゃん、何歳なの?」


 リュジンさんから質問がくるとみんながこちらを見る。


「17歳ですよ」


『へぇ〜』


 え? 何この雰囲気? なんかあった?


「な、なんですか?」

「いや、落ち着いて見えるからもっと上かと思ってたよ」


 と国王夫妻に言われる。シヴァン様とリリン様も頷いている。


「私はもっと下かと思ってた、すごい童顔なんだね」

「ボクももっと下かと思ってた〜」


 とリュジン夫妻、マリーちゃん、ロルド様。


 そんなに分かりづらいだろうか? 髪の毛の長さなんかは変えたけど顔は変えてないぞ?


「じゃあヒナタはジュースだな、モコとキキョウには水と魚でいいか?」

「はい、ありがとうございます」


 オレンジジュースのようなものがメイドさんから、運ばれてくる。

 モコとキキョウには、水と魚の刺し身が運ばれてきた。


「そういえばヒナタは、結局リュジンの養子になるのか?」

「いやなりませんよ」

「え!?」


 いや、『え!?』って言われてもなりません!


「あんなに私の事を慕ってくれていたのに・・・」

「いや、慕ってないです」

「そんなぁ!」


 この人はほんとに何を言ってるんだろう?


「マリー! ヒナタちゃんに言ってやってくれ! お姉ちゃんが欲しいと!」

「なぁ!?」


 ま〜たその狡い作戦か! この人は本当に汚い!


「ヒナタちゃん! マリーね、お姉ちゃんが欲しい!」

「ゔぅ」

「ほらヒナタちゃん! これでも断るつもりかい!?」


 そんな眼差しを向けないで!


「・・・にゃ」「・・・みゃんみゃ」


 モコとキキョウから、『何やってんだろうこの人たち』と言っているような鳴き声と目線を感じる。


「うぅ、でも! 私たちは・・・旅をしたいので! 断らせてもらいます!」

「そんな!? マリー! なんか言って!」


 リュジンさんはまたマリーちゃんに頼ろうとする。


「・・・パパ、人が嫌がることをするなって言ってたのにそういう事するパパは嫌い!」


 さっきまで意気揚々とふざけていた、リュジンさんが氷漬けされたように固まる。


「・・・マリー・・・ごめん・・・」


 この場にいる人、全員が思った


『こんな不甲斐ない父親がいるのか・・・』



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