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愛する猫と異世界へ  作者: 絵濡亥 家尾
リュクシルン国 王都
54/80

53話 ダンスの時間

 結構な量があったデザートをすべて食べ終わる。

 大分お腹がきつい、食べすぎた。

 でも元の世界で食べた事がありそうなものから、初めて食べるもの。美味しいものばかりだったから反省はしてない!


「いや〜お姉さん綺麗な顔して、結構食べるんだね」


 と白髪のイケメン風の男に話しかけられた。何か用だろうか?


「お姉さん、どうでしょう、あっちの外でお酒を飲むのは?」

「いや、大丈夫です」


 お酒は未成年だから飲めないし、この人はちょっとチャラそうで誠実さが無さそうでなんか・・・嫌だ。


「じゃあ、お茶ならどう?」

「いや、いいです」

「じゃあちょっと外を散歩するのは?」

「いや、いいです」


 その後も「じゃあ」「じゃあ」としつこく迫ってくる。

 めんどくさいな〜と思っていると、会場がいきなり暗くなり、中央の大きな剣だけが光り輝いて、会場にピアノの音だけが鳴り響く。


 そうすると白髪の男は


「では、ダンスはどうでしょう?」


 とニヤニヤしながら、ダンスを申し込んでくる。

 でも残念、先客がいるもんね!


「ごめんなさい、先客がいるんです」


 そう断ると、白髪の男は顔を真っ赤にして、怒鳴り散らしてくる。


「なんなんだ君は! さっきから断りやがって! この俺が! 申し込んでいるのに断るなんて! この俺のお誘いだぞ! 誰だ! そいつの名前は!」


 といきなり男が怒り出した、モコとキキョウももう限界のようで、『グルル』と唸っている。どうしようと思っているその時


「僕だよ」


「あぁ!? あ、あぁ、シヴァン・リュクシルン様・・・失礼します」


 と笑顔ではいるのだが、明らかに怒っているシヴァン様がいつの間にか、白髪の男の後ろに立っていた。

 白髪の男は、シヴァン様と気付いてから、さっきまで赤くなっていた顔を真っ青に染めて、どこかへ消えてしまった。


「ふぅ、ヒ! ヒナタさん! お迎えに上がりました」

「ふふ、ありがとうございます」


 シヴァン様が先程とは別人のように緊張しながら、ぎこちなくお辞儀をしてくれる。こちらもお辞儀で返す。


「ヒナタさん、お手をお貸しして貰えますか?」


 とシヴァン様は手を差し出してくれたので、私もそれに答えるように手を乗せる。


「ではこちらへ」


 モコとキキョウには、リュジンさんのところへ行くように言い、リュジンさんは手でグーとハンドサインをしてくれる。


 その後はシヴァン様に連れられるまま、会場の真ん中、大きな剣の下まで行く。

 もしかして1番目立つところじゃない?


「ヒナタさん、ここに手を当ててもらって大丈夫ですか?」

「はい」


 言われるがままに手を繋ぎ、腰に手を当てると、今まで鳴っていたピアノが別の楽曲に切り替わる。


 そのまま、シヴァン様の動きに合わせながら、身体を動かす。

 すると、シヴァン様に足を踏まれてしまった。


「す、すみません」


 足を踏まれたのだが、シヴァン様の体重が軽いからかそこまで痛くはなかった。


「大丈夫ですよ」

「すみません」


 また足を踏まれる。


「すみません、すみません!」

「ふふ、大丈夫ですよ、緊張してるんですね」

「そ、それはもう、緊張してます///」

「それより、先程はありがとうございました」


 と先程の白髪の男の件のお礼を伝える。


「いえいえ、僕も貴女を取られると思ってちょっとムキになってました」

「そうですか、それでもありがとうございました」

「は、はい!」


 シヴァン様は恥ずかしがりながら、答えてくれる。


 そのままダンスは順調にいく。意外とダンスが簡単なもので、私でも踊ることが出来た。

 そうしてピアノの曲が終了する。


『パチパチパチ』


 周りからは拍手が鳴り響いている。

 シヴァン様は私に向き直り


「では、ありがとうございました! 楽しかったです」


 とお辞儀をしてくれる。


「いえ、こちらこそありがとうございました」


 正直、ダンスの時間が経つのが早い気がした。

 そして次のピアノの曲が流れ始めるが、シヴァン様はその場に立ち尽くして、モジモジしている。


「ヒナタさん」

「はい?」

「もう一曲どうでしょうか?」

「喜んで!」


 正直、楽しかったので喜んでOKをする。

 マリンさんの言ってた事もちょっとわかった気がする。

 ――――――――――――――――――――――――

 その頃、馬車の警備をしているマリン。


「ヘクシュ」

「お大事に、マリン嬢」

「いえいえ、ふふふ! これは良い予感がします!! フッフッフッフ!」

「マリン嬢が壊れたぞ、アロン殿」

「放っておけ」


 その夜、お城の外では女性の笑い声が鳴り響いたそうな。

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