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愛する猫と異世界へ  作者: 絵濡亥 家尾
リュクシルン国 王都
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48話 日向の危機

「へ・・・?」


 頭が回らない。僕たちが王子様のパーティに?

 そもそも僕たちのような人が行っても良いのだろうか?


「それは、僕たちも行っていい奴なんですか?」

「もちろん! そんな堅苦しいパーティじゃないよ、ただの誕生日パーティさ!」


 ただの誕生日パーティって・・・王子様の為のパーティなんでしょ?

 僕はマナーとかあまりわからないのだが、大丈夫だろうか?


「すみません、僕はマナーに自信が無いんですが、大丈夫ですか?」

「あぁ、全然問題じゃない、ただお喋りしながら、美味しいもの食べるだけだから」


 美味しいもの! 王子様のパーティだから珍しいものとか出るのかな?


「あ、そうなんですね・・・ちなみに美味しいものって例えば何か聞いてもいいですか?」

「・・・ふふふ、ハッハッハ!」


 リュジンさんが面白そうに笑い始める。おそらく僕がご飯目当てだと思ったんだろう。

 間違ってないけど・・・だって、王子様のパーティだよ? そりゃ気になるでしょ!


「君は本当に面白いね! それは来てからのお楽しみにしておこうかな? ふふ」


 リュジンさんがもったいぶった回答をする。

 これは付いていかないと教えてくれなさそうだ。


「さて! 招待を受けてくれるかい?」

「・・・謹んでお受けさせていただきまふ」

「ふふ」


 噛んでしまった。カイナさんにも笑われてしまった。恥ずかしい。


「じゃあ早速! 着替えようか、ヒナタくん」

「え? 今ですか?」

「今だよ!」


 何故、今着替える必要があるのだろうか?

 う〜ん? もしかして・・・


「リュジンさん・・・パーティっていつですか・・・?」


 リュジンさんは、不敵に笑いながら、こちらを見てくる。


「ふっふ〜ん! 今日の夜からだよ!」


 と得意気に言ってくる。


「いやいや! 無理ですよ!」

「なんで?」

「なんでって、気持ちの問題もありますし・・・」

「行くって言ったよね?」

「ぅぐ」


 リュジンさんはニコニコ笑いながら、問い詰めてくる。正直めちゃめちゃ怖い。


「それに、ぼく、正装みたいな服持ってないですよ!」

「それなら僕が貸すから大丈夫」

「・・・モコとキキョウはどうすれば!」

「一緒に入っても良いよ、誰にも文句は言わせない。他に問題は?」

「・・・ないです」


 リュジンさんがニヤリと笑う。


「よし! さぁ早く着替えて来なさい! マリン、ヒナタくんを衣装室へ」

「かしこまりました、さ! ヒナタくん行きますよ!」

「・・・はい」


 そのままマリンさんに案内されるがままに、屋敷の中へ入っていく。


 屋敷の中は、入ってすぐ両側に宙に浮く、透明バラの花があり。

 中央に大きい階段があり、左右に別れている。


 そのまま階段を上がり、右へ行く。

 壁にはところどころ、絵画が飾ってある。しかも絵画の目が動いているようにも見える。


「あ、あのマリンさん」

「はい、なんですか?」

「絵画の目が・・・動いてないですか?」

「絵画の目? 動く訳ないでしょう、ヒナタくんはビビりですね」

「・・・」


 ヤバいって・・・めっちゃ見てるって目がこっち見てるって!


「ふふ、冗談ですよ、安心してくださいヒナタくん」

「ひょ?」

「この絵画たちは防犯用の絵画なんですよ」

「・・・はぁぁぁ、良かった〜」

「ふふふ、すみません、弟に似ていたもので」


 本当に怖かった、なるほどこういう防犯もあるのか、確かに怖い。


「さ、ここです」


 マリンが扉を開けると、中には訳が分からない程の服が置いてある。

 しかも、すべてが高価そうだ。


 マリンさんは、奥で僕に服を選んでくれている。

 正直この中から自分で選ぶのはちょっと怖いからありがたい。


 と思っていた事もあった。


「さぁ!ヒナタくん、まずはこれを着てみましょう!」


 マリンがフリフリの赤色のドレスを持ってくる。

 さすがに中性的な見た目をしている僕でも、それはちょっと・・・


「マリンさん、僕は男ですよ?」

「知ってます。でも私思うんです、似合えば関係なくないですか?」

「いやいやいや」

「いやいやいや」

「出来れば僕は、男ものがいいです・・・」

「そうですか・・・似合うと思ったのになぁ・・・」


 そういうと、マリンさんは別の服を探しに戻る。


「じゃあこれは!」


『ババーン!』という効果音と共に持ってきたのは、学生服・・・スカートが付いてる・・・


「マリンさん!」

「ひゃ〜怒った〜怒った〜」


 マリンさんが学生服を持ちながら逃げていく。

 これはあれだ、姉の友達にからかわれている、そんな気持ちだ。


 まぁ"加護"を使えば、着れなくもないが、マリンさんには、めんどくさい事になりそうなので黙っておこう。


 マリンさんは逃げる足を止めた。


「・・・ふふふ、良いことを聞きました・・・」


 ん? 良いことを聞いた? なんの事だろう? 何も言ってないのだが。

 マリンさんが目を輝かせてこちらへ徐々に歩いてくる。


「ふっふ〜んヒナタくん、加護を授かっているんですね」

「"ん"ん"!?」


 なんで!? なんで!? 分かった?


「"恐らく"姿を変えられるか、性別を変えられる加護かな?」


 と僕の顔を覗き込んでくる。


 なんで分かるんだ? 何も言ってないはずなのに! もしかしてこの人・・・


「はい! そのもしかしてです! 私も加護を授かっているからです! フーン!」

「え!? マリンさんもですか!?」


 それはちょっと想定外だった。僕たち以外にも加護を授かっている人がいるのか、考えてみれば当たり前のことかもしれない。


「はい、私は心神(こころがみ)の加護を授かっています。だから聞こうと"思えば"聞こえるんですよ〜」


 そんな・・・じゃあ嘘とかはつけないと言うことか。


 いや! それよりも今は別の問題がある!

 絶対に女装をさせられると言うことだ!


「その通り! さぁヒナタくん、これを着てみましょうね〜」

「いやだ! いやだ! 絶対に嫌だ!」

「まぁまぁ、そのうち好きになりますって! 弟もそうでした!」


 弟くん・・・大変だったね・・・今そっちに行きます・・・


「いやぁぁぁぁぁ!!」




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