45話 到着
リュジンさんに質問責めをされながら、日が暮れてきた。
「そろそろ、ここら辺で野宿しますか」
アロンさんが野宿の場所を決める。
そのまま騎士の人達はテキパキと、テントの設営をしている。
出来上がったテントは、それは大きいサイズのテントだった。形は長方形でちょっとしたコンビニくらいある。
今回の夕食は、僕の持っているお肉を使ってもらった。お昼はご馳走してもらったしね。
マリンさんがお肉をステーキにして、焼き上げてくれる。
ステーキの焼き方も僕が焼いた時より、全くの別物になっていた。より柔らかく肉汁がしっかり閉じ込められている。焼き方のコツを聞いてみると、やはり慣れだそう。慣れって難しい。
「じゃあヒナタくん、私たちはここで失礼するよ」
とリュジンさんたちはテントの中へ入っていく。
「ヒナタさん、夜の警備は任せて安心して寝てくれ」
アロンさんたちが夜の警備をしてくれるらしい。
僕たちは今まで警備をした事がない。魔物避けの水をテントの周りにかけるだけだった。
多分、盗賊たちの見張りも兼ねているのだろう。
「じゃあお先に失礼します」
「にゃ」「みゃあ」
「おやすみヒナタさん」
「おやすみ〜ヒナタくん」
「ヒナタ殿、おやすみなさい」
僕たちはテントに入りそのまま眠りについた。
朝になり、モコとキキョウにおはようをしてから、テントから出ると、騎士たち3人とリュジンさんがもう起きていた。
「おはようございます」
「にゃあ」「みゃん」
「おはようヒナタくん、よく眠れたかい?」
「はい! おかげさまでぐっすり」
「それは良かった」
騎士さんたちは、これから進む道の確認をしているようだ。問題がなければ良いが。
「おはよう! お兄ちゃん! モコちゃん! キキョウちゃん!」
「おはようございます、ヒナタさん」
と後ろから声をかけられる、恐らくマリーちゃんとカイナさんだろう。
「おはようございます、カイナさん、マリンちゃん」
「にゃん!」「みゃ」
その後は朝食をみんなで取り、早速出発する。
出発したのはいいのだがマリーちゃんが暇を持て余しているらしく
「ヒナタくんなんかない?」
とリュジンさんが馬車の窓から無茶振りをしてくる。
何かない? って言われてもな〜なんかあるかな?
「じゃあ娘に魔法を見せてやってくれないか?」
リュジンさんが提案をしてくる。
確かに魔法なら多少出来るかな? 水魔法も結構上手になってきたしね。操水の指輪のおかげでもあるけど。
「お兄ちゃん魔法使えるの!?」
「うん! じゃあちょっとやってみるね?」
「うん!」
期待の眼差しを向けられたので、勢いでOKしてしまった。
でも何をしようかな? 火魔法は危ないからダメとして、水魔法で危なくないもの・・・あ〜あれにしよう!
水魔法で魚を作り出し、マリーちゃんの馬車の周りに魚を泳がせる。水に太陽の光が透けて、すごく綺麗な景色になっている。
「すごい! すごい! お兄ちゃん綺麗だね!」
「綺麗だね〜」
やっぱり子供は無邪気なくらいが丁度いいね。
リュジンさん達も「ほぉすごいな」「綺麗ね〜」などと言っている。気に入ってもらえて良かった。
そのまま旅は順調に進む。
途中キキョウが癖になっているのか、動物を口に咥えていて、みんな驚いていたが、それ以外は問題がなかった。
そして王都が見えてくるが、壁の大きさもほかの街とは全然違う。
しかもここからでも見えるあのお城! もう大きいとかのレベルでは無い!
そのまま王都にたどり着いた、王都の壁は首を上に向けても見えない。大きいなぁ。
門も他の街と比べて大きい物になっている。
門番の数も10人はいる。
盗賊を門番の人に受け渡しをする。
どうやらこの人達の被害は結構大きかったらしく、門番の人から感謝された。
「では身分証の提示をお願いします」
「はい」
門番の1人に冒険者カードを見せる。
「はい、確かに、ではこのままお通りください」
「ありがとうございます」
リュジンさんたちは、先に顔パスで入っていった。
王都の中に入ると、まだ祭りは始まっていないはずなのに、すごく盛り上がっている。あちこちで紙吹雪が舞っている。
街並みもすごく西洋風でファンタジーを感じる。なんか興奮してきた。
「じゃあヒナタくん、ここでお別れだね!」
「あ、はい、そうですね」
街に見とれていると、リュジンさんから話しかけられた。
「もし良かったら、これを持って、明日の朝にここに来てくれないかな?」
「これは?」
「私たちの別邸の地図と門を通るのに必要なカードだよ」
なんでそんなものをくれるのだろう? 何か用事でもあるのだろうか?
「なんでくれるんですか?」
「お礼をしたいのはもちろんだけど! 私たちが君を気に入ったからだよ!」
正直お礼は要らないのだが、まぁ貰っておいても損はないかな?
「またねヒナタくん! また会おう! ハッハッハ〜」
「じゃあねお兄ちゃん!」
「ヒナタさん、また明日」
「はい、ではまた」
「にゃん!」「みゃ」
明日の予定も決まってしまったが、貴族様の御屋敷にそう簡単に行っていいのだろうか?
まぁ考えても仕方ないし、明日行ってみよう!
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