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愛する猫と異世界へ  作者: 絵濡亥 家尾
2章 冒険都市ロリング
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35話 オンバインの依頼

 手紙の内容は、タリバさんがオンバインさんに行っていた仕送りを辞める事。この手紙を僕達が届けるという事。手伝って貰うと良いだろうという事。


 店を自分で構えているのに、仕送り? 相当売れていないのだろうなと思った。


「なんで仕送りなんかしてもらっているのかと、そういう顔だな!」

「え! いや・・・」


 そんなに顔に出ていただろうか。申し訳ない。


「いやいいんだ! 聞いてくれ! 俺の話を!」


 オンバインさんは、元々タリバさんと同じ店で鍛冶師をやっていたらしい。

 しかし、タリバさんのように自分の店を欲しくなり、別の街でお店を出した。

 その街がここ、ロリングに店を構えたようだ。


 だがそれが問題だった。

 ロリングは、確かに冒険都市と名がついてはいるが、実際は、遊びたい人が多く来る都市だった。

 少なからず武器を買いに来る人はいるが、それでは生活できず、タリバさんに仕送りしてもらっていたらしい。


「え〜と、タリバさんのところに帰るのは無しですか?」

「それはほんとに最後の手段だ! まずはこの依頼をどうか受けて欲しい!」


 オンバインさんは頭を下げる。

 まぁ正直やってみるのも全然ありだ、まだこの街には居るし、なにより・・・なんかこの人が可哀想に思えてきた。


「分かりました、その依頼受けます」

「ほんとか! ありがとう!」

「モコとキキョウも大丈夫?」

「にゃ」「みゃん」


 よし! さっそく! 改善点を探してみよう!


「まずは、どこを直したら良いのか、探してみましょう?」

「といっても、俺はこれが良いと思ってるからなぁ」

「そうですか・・・じゃあ僕が探すんで、どうやったら人が入ってくるか、考えていて貰っても大丈夫ですか?」

「それなら任せろ!」

「じゃあそういうことで」


 まず、さっきから思っていたが汚い! よく見たらホコリだらけだ!

 他にも、武器の置き方が雑! タリバさんの店は綺麗に並べてあって見やすかった! この店はなんか、樽とかに入れてあって、良いんだけど、どこに何があるのか分かりづらい。


 この2つが主な原因だと思う。

 他にも原因はある、特に入りたいと思う要素が少ないのも原因だと思う。

 この街のお店は結構黙って歩いているだけでも、声をかけてくれて、「楽しそう!」という気持ちが出てきて入りやすい。簡単に言うとこの街は、客引きが上手い人が多い。


 ここら辺を直さないと多分売上は上がらないだろう。

 このことをオンバインさんに伝えると、その場に『ドサッ』とノックアウトされたようにうつ伏せで倒れてしまった。


「ひなたぁ、そこまで駄目か? この店は」

「はい、ダメじゃなかったらこんな事にはなってません」

「ぐはぁ!!」


 完璧にトドメを刺してしまったが事実だ、これを最低限直さないと、この街では無理だろう。

 この街のお店は、恐らくというか相当、見せ方や言葉が上手い人ばかりだ。


 よく考えたら、水の中を滑る店もスウィートマウスの近くに店を構える理由、商売文句、全部考えていたように感じてきた。


「じゃあまずは、掃除からしましょうか!」

「もう、無理かもなぁ・・・」

「はいはい! やりますよ!」

「にゃん!」「みゃん」


 倒れているオンバインさんを無理やり起こして、掃除を開始する。

 オンバインさんが店の奥から掃除道具を持ってくるが、それすらもホコリが被っている!


「オンバインさん・・・今まで掃除をしたことは?」

「・・・・・・」

「したことは?」

「・・・ない」

「はぁ、とにかくやりますよ!」

「お、おう!」


 ここまでとは思っていなかったが、乗りかかった船だ、最後までやりきろう!


 ある程度、掃除が終わってあとは、雑巾がけをするところだ。

 バケツに水魔法で水を貯める。


 ここで気づいた。

 操水の指輪でお店丸ごと、水洗い出来るのではないかと。


「オンバインさん、やってみたい事があるんですけど、やってみてもいいですか?」

「何する気だ? まあいいが・・・」

「ありがとうございます」


 バケツに貯めた水を操り、床や壁に水を滑らせる、もちろん武器には当てないように。

 丁寧に、丁寧に水を這わせる。

 難しいな、結構集中力が必要だ・・・


「お、おう、なんだこりゃ!」


 驚かれると、ちょっとドヤ顔をしたくなってくるが、まだ集中だ!

 本当にガリスさん達には感謝だ。

 最後に水をバケツに戻すと、水は真っ黒に染まっていた。

 そして壁の本当の色が出てきた。


「そうだ、この壁はこんな色だった・・・」


 とオンバインさんが壁を懐かしそうに撫でるように触っている。


 大理石のように白く、所々様々な色に輝く紋様が見える壁。とても綺麗だ。


「さて! 掃除が終わっただけですよ! 本当に難しいのはここからです!」

「おぉ、おお!! 」




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