31話 遊び尽くせ!
よし! 遊び尽くすぞ!
出口はどこだろう?
周りを見渡すと、出口と書かれた看板を見つけた。
『ここに立て』
と壁に下矢印で書いてある。
立つと上から巨大な口が現れ、いきなり食べられた。
「ばぐ!!」
「え?」「にゃ?」「・・・」
もう驚きすぎて、言葉がえ? 以外に出てこなかった。
「ぶべぇ!」
口から吐き出された。
確かに地上には出られたが、身体がヨダレでベタベタする。
でも、何故か甘い優しい匂いがする。
ほんとによく分からないなこの街は!
「そこの猫ちゃんとお兄さん! スウィートマウスでベタベタの体を水でさっぱり流さないか!? 」
マーメイドのような姿をしたお姉さんに誘われてしまった。しかしさっきのスウィートマウスって言うのか。
「どう? お兄さん?」
「せっかくなんで乗りたいんですけど、猫は大丈夫ですか?」
猫を残して、僕だけ乗るなんて絶対にダメだ!
「あれ? お兄さんもしかしてこの街ははじめてだろう?」
「はい、でもなんでわかったんですか?」
「そりゃわかるよ! この街でそんな質問する奴いないからね! 安心しな! この街の物は全部猫ちゃんと乗れるから!」
「そうですか、じゃあ乗ってみます」
マーメイドのお姉さんがニカッと笑う。
「じゃあ、行ってらっしゃい!」
そう言うと、宙に浮いている水をまるで引っ張ってきたかのように操り、僕たちを水で包む。
水で包まれているのだが、息はできる。
猫たちも問題ないようだ、キキョウは・・・水中でへっぴり腰になっている。
そのまま宙を舞う様に水に流される。
とても不思議な感覚だ、水に包まれて、ヒンヤリした感覚はあるのに、見る限り服は濡れてない。
それよりも、宙に浮いていることもあり、街を一望できる。
どこもかしこも明るくイルミネーションの様に綺麗だ。
特に気になったのは遠くにチラッと見えた、でかい魚の建物。モコとキキョウも気になったらしく、じっとその建物を見ている。後で一緒に行こう。
そのまま街を眺めていると、最初のマーメイドのお姉さんの所へ帰ってきた。
「どうだった!?」
「とても楽しかったです、しかもサッパリしました!」
「にゃ」
「みゃん」
「そうか! そうか! なら良かった!」
またお姉さんがニカッとしている。
水の中を流されたおかげか、さっきのヨダレが取れている。遊びながら綺麗になれるって良いな!
「そこの兄貴! 水で流されたあとは、ハラハラする様な楽しいことしようぜ〜!」
次はハンターのような姿の男の人に声を掛けられた。
建物自体は何か冒険を想像させる形をしている。
ここは何をするところだろう?
「ここは何をするところなんですか?」
「おう! ここは簡単に言えばだな! 竜に乗って冒険をする、とても危ない乗り物なんだ! もう危なくて乗れたもんじゃないが! 勇気ある若者よ、ここの門を通るが良い!」
多分、安全なジェットコースターのようなものだろう。
中に入ると、本当に結構大きい竜のようなものが用意されていた。竜はしっかり鱗まで作り込まれており、男の子が興奮するほどかっこいい。
そして座席のようなものも付いている。
「竜に乗ったらそのままにしてろよ! 猫ちゃんも大人しくしててなぁ」
座っている背の部分から、勝手に体にフィットするベルトが体を固定してくれる。モコとキキョウの方もしっかり体にフィットしている。
「じゃあ空の旅へ行ってこい!」
と辺りがいきなり明るくなる、さっきまでのライトの明るさではなく、太陽の明るさが広がる。
「ギャオゥ!!」
と乗っている竜が動き出し、いきなり建物を壊しながら飛び立った。
「えぇ!?」
建物、壊しちゃった。 まぁ良いのかな?
その後はすぐに竜が天高く舞い上がった。
すごいな、こんな天気のいい日に空高くから下を見下ろせるなんて。
遠くに湖も見えてきた、さっきは動物の群れみたいなものも見えた!
空を飛ぶってこんな感覚なのか! 多くの人が空に憧れるのもわかったような気がする。
高度も高いおかげで太陽にも近い様な気がする。モコとキキョウも眠たそうにポカポカしてる。
景色を楽しんでいると目の前が真っ赤に染る、どうやら竜が炎を吐き出したようだが全然熱くない。すごいかっこいい! やっぱり竜はかっこいいな!
その後は竜が高度を落としていき竜が壊した建物まで戻っていく。
あれ? なんで戻ってきたんだろうと考えていると、辺りがいきなり暗くなる。
・・・もしかして・・・まだ夜?
建物も壊れたと思ったし!! 太陽とかも再現できるんだ!!
魔法ってすげぇ、異世界すげぇ!!
「どうだった! 兄貴!」
「すごい綺麗でした! 楽しかったです!」
「そうか! 他にもいろんなのがあるから、見てっていくといいぞ!」
その後も色々なものに誘われてしまった。
海中を探索するような体験、口から雷を出させられる体験、ほんとに色々なものがあった。
結局朝まで遊び尽くしてしまったが、“何故か”全然眠たくない。
しかしまだまだ全然街を回りきれていない。
大きい魚の建物にも行けてないし、ジャンセルさんの言ってた隠し○○も見つけれていない。
まぁすぐにでも次の街に行く訳じゃないし!
ゆっくりこの街を楽しもう!!
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