28話 ヒナタの加護
モコに乗りながら、ロリングへの旅をしている時に気になった。
そういえば、僕の加護使ったことなくね?
ちょっと試してみたい、時間もちょうど夕方くらいだ、今日はここら辺で野宿しよう。
「モコ、キキョウ止まってもらえる?」
「がう!」
「がぉ」
昨日と同じようにテントを準備して、夕食の準備をする。
今日の夕食は、桜鹿の残った肉を食べようと思っている。
アイテムボックスの中は時が止まっている訳ではないが、時の流れが緩やかになるらしい。
アイテムボックスから桜鹿の肉を取り出すと、変色もしていない。
どうやら時の流れが緩やかになるのは本当のようだ。
フライパンを出して、鹿肉を焼く、今回はミディアムくらいにしっかり焼いてみよう。
皿の上に食事の準備をし終えると、モコとキキョウの姿がない。
「モコ〜! キキョウ〜! どこ〜!」
どこいったんだろう?
そういえば首輪に居場所が分かる機能があった事を思い出した。
モコの居場所はどこだろうと、頭の中で考えると視界に猫の形の矢印が出てくる。
可愛いなぁこの矢印。
するとモコがすごい速度で近づいている事が分かる。
モコとキキョウが何かを咥えているのが見える。
「がう!」
「がる!」
モコはでかい蛇を、キキョウはミノタウロス? のような魔物を運んできた。
「え〜と、、、モコちゃん? キキョウちゃん? そ、それどうするの?」
「がう?」
「がる?」
モコとキキョウが首を傾げて、お互いに見合う。
可愛いなぁ。変身後だからそのギャップでより一層可愛い。
とりあえず、この2体はアイテムボックスに入れておこう。
「モコ、キキョウ、ご飯にするよ〜」
「にゃ」
「みゃ」
よく焼けた鹿肉はとても美味しかった。結構しっかり焼いたはずなのに柔らかくて、肉汁もしっかり出てきて、レアとは違う美味しさがあった。
食事も終わり、あとは寝るだけなんだが、その前に僕の加護を使ってみたいと思っている。
確か姿を変えられるはずだったような?
もう一度確認してみよう。
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「ステータス」
変態の加護
自分と同等の質量の物に姿·形を変えられる。魔力に補正がかかる。自分の好きなものに対する執着が変態レベルになる。
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そうそう、自分と同等の質量の物だったな。
手を猫の手に変身するイメージでやってみよう!
両手が一瞬に光り、完全に猫の手になっていた!
「おぉぉぉ!!」
ちょっと違和感があるが問題ない!
あとは匂いだ! 匂い!
嗅いでみたが・・・無臭だ・・・ほんとに匂いがしない。
まぁ良いだろう! 他にも色々実験したい。
もしかして、翼を生やせるんじゃないだろうか?
全男子のロマン!
よし! 翼が生えるイメージだ!
すると全身が一瞬光る。
背中に違和感がある! 翼がある! 大興奮! したのも束の間、何故か視点が低い。
どうやら翼は生えたのだが、身体が小さくなった、小学生位の身体になった。
なるほど、同等の質量ってそういう事か。
実験の結果、色々なことができた、手を刃物にすることも出来たが切れ味は悪かった。
もちろん猫にもなれた。鏡で見てみるとちゃんと可愛い猫になっていた。しかしちょっとでかい猫にしかなれなくて、モコとキキョウが困惑していたのですぐやめた。
僕の加護は変身するだけなら使い勝手が良さそうだ。
応用すれば戦闘も多少出来るようになるだろう。
「ふぁ〜あ」
だいぶ時間を使ってしまったな、もう寝るか。
僕はテントに入り、寝る時間をする。
「モコ、キキョウ、おやすみ!」
「にゃお」
「みゃ」
こうして僕は眠りについた。
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