27話 初めての鹿肉
喋るゴリラを初めての見た!
というかゴリラを初めて見た!
でもなんか危険は無さそうな気がするなぁ。
「モコ、キキョウ、大丈夫だから変身を解いて」
モコとキキョウは、腑に落ちない様子で変身を解いた。
「いやはや、いきなり話しかけてしまいすみません」
「いえいえ、こちらこそすみません」
何だこの丁寧なゴリラは、しかも、今気づいたが紳士服まで着てる。
「私は、ガイガンと言います、以後お見知り置きを」
お辞儀までしてくる。紳士だなぁ。
「あ、ご丁寧にどうも、僕はヒナタって言います、こっちはモコとキキョウです。」
「にゃん」
「みゃ」
挨拶で返す。
どうしよう、お辞儀した方がいいかな?
「ところでそちらの桜鹿の解体を手伝わせて貰ってもよろしいですか?」
サバイバルブックを使っても分からなかったから、願ってもないとこだ!
「はい! ぜひともお願いします!」
「その代わりなんですが・・・桜鹿を分けてもらってもよろしいですか?」
「それくらいなら、大丈夫ですよ」
「ありがとうございます! ではまず解体の仕方なんですが━━━━」
ガイガンさんはとても丁寧に教えてくれた。
「このやり方は他の動物でも同じ」「ここの部位の間接は外すのが難しいのでこっちから━」
サバイバルブックに書いてある事だけではなく、コツなんかも教えてくれた。
「いや〜しかし良く桜鹿を仕留められましたなぁ」
「僕じゃなくて、キキョウが仕留めたんですけどね。」
「そうなんですか!」
ガイガンさんの視線がキキョウに向く。
でもよく仕留められたって事は珍しいのかな?
「桜鹿って珍しいんですか?」
「それはもちろん! 桜鹿は姿を消すことが出来て、見つけること自体難しいんですよ! 」
そういえばモコから降りた時に周りには何もいなかった。
でも味はどうなんだろう?
「美味しんですか?」
珍しいものは美味しいと昔、誰かが言ってた気がするようなしないような。
「味は保証しますよ! そして! 解体終了です!」
「おぉ」と声が出てしまった、ガイガンさんと一緒にやると、意外と簡単だった。
しかし美味なお肉! 早く食べてみたい!
「ガイガンさん! 早速食べましょう!」
「はい!」
「どう味付けします?」
「私のオススメは塩だけで焼くのが、肉の旨味を感じられて美味しいです!」
「じゃあ塩焼きにしましょう!」
アイテムボックスからフライパンと無限マッチを取り出して、昨日と同じように木の枝を集めて、水を抜き取る。
「ヒナタさん、いい物をお持ちですね」
「そうなんです! 貰い物なんですよ!」
木の枝に火をつけ、鹿肉に塩をかけ、フライパンで表面をさっと炙るように焼く。ガイガンさんが言うにはレアが美味しいとの事。
モコとキキョウには、塩をかけていない物を焼く。
焼いたお肉を皿に乗せ、ナイフとフォークを用意する。
では早速!
「じゃあいただきます!」
「にゃお」
「みゃ」
「大地の神に感謝を」
ナイフで切ると、中は綺麗なピンク色をしている。
だから桜鹿って言うのかな?
口に入れると、とても柔らかく、しかし、しっかりとした噛みごたえがある。
鹿肉を初めて食べたが、臭みなんかは全然なく、赤身の旨味がとても強い! 確かにこれは塩が正解だ!
「確かにこれは美味しいですね」
「ですね、私も久しぶりに食べました」
ガイガンさんもニコニコで食べている。
・・・意外とゴリラも可愛いかも。
「モコとキキョウはどう?」
「にゃん!」
「みゃん!」
うんうん! 美味しそうに食べている! 良かった良かった!
食べ終わると、もう無くなってしまったのかと皆で同じ顔をしていた。
「片付けしますか・・・」
「そうですね」
片付けは水魔法で皿を洗う、最近はちょっとしたシャワーくらいに出来るようになった。
「そういえばヒナタさんたちはどこに行く予定なんですか?」
「僕たちは、冒険都市ロリングに行こうと思ってました」
「そうなんですか、いい所ですよね〜ロリング」
「行ったことがあるんですか?」
「はい、まぁ1度だけですが、とても楽しかった思い出があります」
それはより一層楽しみになってきた!
「ガイガンさんはどこに行くんです?」
「私は、カライアス国にある紅茶神殿に行ってみたいなと思っています。」
「紅茶神殿? そんなものがあるんですか?」
紅茶神殿・・・紅茶で出来た神殿だろうか?
「はい! カライアス国は世界中から紅茶を好む人が集まる国なんですけど、その人たちの間で紅茶神殿の紅茶が1番美味しいと噂なんです!」
「世界一美味しい紅茶・・・いつか僕も飲んでみたいです」
話を聞いていると、いつか紅茶神殿の紅茶を飲んでみたくなった、絶対に行こう!
「ではヒナタさんここでお別れですね」
「はい! またいつか会えるといいですね!」
「にゃん」
「みゃ」
ガイガンさんと別れ、僕はまたモコの背に乗って、ロリングへの旅を続ける。
喋るゴリラというかゴリラを見るのは、初めてだったけど良い人だったな。
旅っていいなぁ! 色んな人と出逢って話して仲良くなれる!
ほんと出逢いって素敵だね。
あ〜あ、もうトールさんたちに会いたくなってきた。
「がう?」
「ん? 大丈夫だよ、またいつか会えるからね!」
モコが心配そうに見てきたが大丈夫、いつかまた会えるんだから。
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