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愛する猫と異世界へ  作者: 絵濡亥 家尾
1章 異世界で初めての街
25/80

24話 異世界で初めての別れ

 ちょっと慣れてきた異世界の朝。

 僕は目を覚まし、まずはモコとキキョウにおはよう。


「モコ、キキョウ、おはよう!」

「にゃ!」

「みゃ」


 いつも通り可愛いなぁ


 まずは宿にいる人に、出発の挨拶をしないと、誰か食堂にいるかな?


 食堂に行くとカールとアイちゃんがいつものようにご飯を食べていた。

 カールもこちらに気づいたらしく


「おお! ヒナタさんおはようございます!」

「おはようございます」

「カール、アイちゃんおはよう」

「にゃん」

「みゃ」


 カールは、昨日の返事を聞きたそうにソワソワしていた。


「カール、申し訳ないけど、一緒にオルリヤには行けない。先に行きたい場所があるんだ!」

「なんかそんな気はしてましたよ。大丈夫です、またいつかご縁が絶対にあります! ちなみにどこに行くか聞いてもよろしいですか?」


「はい! 冒険都市ロリングに行こうかと思います!」

「そうですか! ロリングに! それはそれは、いい思い出を作れるといいですね!」


 カールはカラッとしている、これが商会の頭領の余裕なのか、こちらに悪気を感じさせないようにしているのかは分からないが、この人に会えて良かった。


「それじゃあ、ここでお別れですね」

「はい」

「大丈夫ですよヒナタさん! 1度出逢えたのですからまたいつか会えますよ! 世界は広いようで狭いですからな!ハッハッハ」

「そうですね、またいつか・・・アイちゃんも元気でね!」

「にゃ!」

「みゃん」

「は、はい!」


 そう言い終わると、カールは仕事があるようで、どこかへ行ってしまった。


 世界は広いようで狭い、なんか深いな!!

 またいつか会えたらいいな。


 次はギルドに行ってトールさんを探してみよう。出来ればギルドマスターにも挨拶をしたいが、図々しいだろうか? まぁ行くだけ行ってみよう!


「モコ、キキョウ、ご飯食べたらギルドに行くよ!」

「にゃん」

「みゃ」


 ギルドへ向かう途中にガリスさん達に出会った。


「ヒナタさん、これからギルドに?」

「はい! そろそろこの街を出るので、皆さんに挨拶をと思いまして」

「え!? 出てくの!?」


 とガリスさん達はびっくりしていたが、冒険者なら冒険してなんぼだと、言ってくれた。

 しかし、ガリスさんが「けどな!」と続けた


「ヒナタさん! 俺たちはあんたに命を救われてんだ、最初にあった時も、キキョウちゃんの時も、俺たちは、この恩をどう返したら良い?」

「いいですよ、そんな大した事じゃないですよ」

「いや! そうはいかねぇ!」


 とガリスさんたちが、何かを話し合って、「リーダーあれがいいんじゃねぇか?」とライガンさんが提案していた。


 するとライガンさんに手渡しで何かを渡された。


 指輪のようだが、なんだろうか?


「それは、操水(そうすい)の指輪って言って、水を操れるらしいんだが、水の適正がないと、使えないらしいから俺らのパーティでは意味が無いんだ。」


 操水の指輪! いいな! 水を操れるなんてかっこいい!!

 幸いにも水の適正はある。


「もちろん! 古代武器(アーティファクト)としての価値もあるはずだから売ってもらっても構わない!」

「いやいや、人からもらったものは売りませんよ!」

「そうか、じゃあまたどこかで!『またな!』『またいつかね』『良い旅を』『何処でまた会おう』」

「はい! どこかで」


 指輪はとりあえず、付けておこう! せっかく貰ったしね。

 指輪を付けニヤニヤしながらギルドに着くと、ちょうどよくトールさんと、ギルドマスターが何かを話していた。


「トールさん! ギルドマスターこんにちわ!」

「お! ヒナタ! こんちわさん!」

「ヒナタ君、こんにちは、何かあったのかね?」


 トールさんとギルドマスターに、この街を出て次の街に行くから、挨拶回りをしている事を伝えた。


「そうか・・・ヒナタ無理を承知で言うんだが、この街に残るのは無しか? そしたらあいつらも喜ぶだろうし。俺も嬉しいんだ」


 トールさんは真剣な眼差しでこちらを見てくる。

 あいつらというのは多分、孤児院の子供たちの事だろう。

 確かにこの街に残るのも、全然ありだ、むしろ良いまである。トールさんたちと話してるのは楽しいし、孤児院の子供たちと遊ぶのも楽しかったし、ギルドの雰囲気は良い。


 でも前世からの願いなんだ


 僕はこの世界で猫たちとまったり旅がしたい。


「とても魅力的なお誘いですが、トールさん、ごめんなさい。嫌いなわけじゃないです・・・でも」

「いや! いいんだ、分かってる。元々ダメもとで頼んだ事だしな! ロリング楽しんでこい!

 あいつらには俺が伝えておく、ヒナタが行くと駄々こねると思うしな!」


 トールさんは、いつものように笑顔を見せてくれる。

 ほんとに優しい人ばっかりだ・・・


「ヒナタ君、冒険者は冒険するのが1番じゃよ! 自由に生きればいいんじゃ! それが冒険者の性なのだからな! 」

「ありがとうございます!」

「だが! トールのようになるなよ! 自由に生きすぎて、こいつは礼儀を知らんからの!」

「なんだとジジィ! 早くくたばれ!」

「なんじゃと! だいたいお前は━━━」


 途中までいい話だったのに・・・でもこの空気が心地良いと感じている。


「「ヒナタ『くん』! モコちゃん、キキョウちゃん、またな!!」」

「はい!」

「にゃん!」

「みゃ!」


 こうして僕たちはギルドを後にした。

 後、お世話になったのは、騎士団のナタリーとベルンさん、鍛冶師のタリバさんか。


 騎士団ってどこにあるんだろう?

 まぁ誰かに聞けばいいか、先に鍛冶屋に行こう!


 人生で初めて来た鍛冶屋、それはもう大興奮だった。

 鍛冶屋の前には相変わらず『トールお断り』の看板が置いてある。


「タリバさーん!」

「んあ? あぁトールの友達のえぇっと」

「ヒナタです」

「そうそう! ヒナタヒナタ! でどうした?」

「この街を出て、ロリングに行くので挨拶をと思いまして」

「お! そうか、そりゃ律儀にどうも、そうかロリングか・・・」


 タリバさんは僕の名前を覚えてくれてなかったらしい、ちょっとショック。


「ヒナタ、ロリングに行ったら、ワシの知り合いの店があるんだが、ちょっと手紙を渡してくれんか?」

「はい、大丈夫ですよ!」


 とタリバさんから貰った手紙と店の地図をアイテムボックスにしまう。


「じゃ! 元気でな! ヒナタ!」

「はい!」

「にゃ」

「みゃん」


 後は騎士団か・・・どこにあるんだろ?

 まぁ人に聞くのが早いだろう。

 でも誰に聞こう、優しそうな人がいいな〜


 ん? あれは・・・猫の獣人!

 しかもあの耳と模様はアメショ! 可愛いよなぁ


「いで」


 え? モコに引っかかれた。ヤキモチかぁ? 可愛いやつめ!


 とりあえずあの人に聞いてみよう!


「すみません、ちょっといいですか?」

「んにゃ? なんだ?」


 なんと! ダンディな男性の声! でもなんか長靴をはいた猫みたいでかっこいい!


「え、えと、騎士団ってどこにあるか分かりますかね?」

「騎士団? 騎士団は、こっちに真っ直ぐ進むと騎士団所があるからそこにいるんじゃないかにゃ?」


 と指を指して方向を示してくれるが、手が可愛い。


「すみません、ありがとうございました」

「いいにゃ、いいにゃ、困ったらお互い様だにゃ」


 最初から最後までカッコイイ猫だったな、ワンチャン頼んだら肉球吸わせてくれたり・・・いややめておこう。


 言われた通りの道を歩いていると、大きな建物が見えてきた。


 白い、レンガのようなもので作られた建物。

 形は、なんて言えばいいんだろう? テレビで見たローマ? の建物みたい。


 騎士の鎧を着てる人が出入りしているから、多分ここであっているだろう。

 でも入っていいんだろうか? ちょっと緊張するな。

 と入り口で立ちすくんでいると


「ヒナタ? 何してるんだ?」

「何って、騎士団所に入ろうとしてるところ?」


 無意識に回答をしてしまったが、横を見るとナタリーがじっと僕を見ていた。正直ビックリした。


「え!? ナタリー!」

「おん、ナタリーだが騎士団になんか用か?」

「いや、明日、街を出るから挨拶しようかなと」

「もう!? 出ていくのか!?」


 ナタリーが顔を近づけてくる、めちゃくちゃ近い、美人に近づかれるとドキドキしちゃう。


「ナタリー近い・・・」

「え? あ、すまん」


「そうか、もう出ていくのか・・・ありがとな、その・・・色々」

「いえいえ、ところでベルンさんはいますか?」

「ベルン副隊長は今は居ないぞ。東の森で緊急の調査が入ってな、それの調査をしている」

「そうですか、じゃあベルンさんにもありがとうございましたって伝えて貰えますか?」

「おう! 任せろ!」


 ナタリーはニカッと笑顔を見せてくれる。

 やはり笑顔が似合う人だ。


「じゃあねナタリー、またどこかでね!」

「にゃん」

「みゃ」

「あぁ!」

「あと、笑った方が可愛いよ!!」

「なぁ!!」


 ナタリーは後ろで何かを言っているが、ほんとのことを言っただけだ。


 さて、明日は出発の日だ、今日はもう帰ってすぐに寝ることにしよう。

 せっかくの出発の日に寝坊しましたなんてダサすぎるからな。


 じゃあ行くぞ〜冒険都市ロリング! 今からワクワクが止まらないな。にやけてしまう。


「モコ! キキョウ! とりあえず帰って早く寝るぞ!」

「にゃん!」

「みゃ〜」





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