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愛する猫と異世界へ  作者: 絵濡亥 家尾
1章 異世界で初めての街
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第1回 窓際の猫会議

 夜のヒナタが寝静まった頃、2匹の猫は静かに起き上がる。ヒナタを起こさないように。


「にゃ〜? (こっちの窓際においで〜、ここで話そう?)」


 1匹が窓際に登りもう1匹を呼ぶ。


「みゃ(分かりました)」


 もう1匹も登る、それはもう静かにヒナタに気づかれないように。


「みゃんみゃ? (ひとつ聞いてもいいですか?)」

「にゃん! (なんでも聞いてよ!)」


 黒猫がモコに聞く。


「みゃ〜みゃん? (何故あの人は貴方を“モコ”と呼び、私を“キキョウ”と呼ぶのですか?)」

「にゃ〜にゃ! (それが私たちの名前だから、としか言えないね)」


 黒猫の疑問がさらに深まる。


「みゃみゃ? (名前? 何故そんなものがいるんですか?)」

「にゃんにゃ! (名前が大切なものだから・・・ヒナタからの大切な贈り物だからね!)」


「みゃ?(なんで大切なんですか?)」

「にゃ〜? にゃん? (難しい事を知りたがるね? まぁ名前は・・・“私”が“私”である証明というか理由というか説明?)」


「みゃん・・・(“私”が“私”である証明・・・)」


 黒猫は考える、今までに感じた事のない感情。


「にゃん! (まぁ色々言ってきたけど、単純に名前で呼ばれることは嬉しいし、“私”の事を呼んでるって感じるんだ!)」

「みゃ?(嬉しい? 呼ばれて?)」


 モコは思い出す、初めて名前で呼ばれた喜びを幸せを


「にゃにゃん!(私は、捨てられ猫だからかもしれないけど、名前があるってだけで幸せなんだよ!

 まぁそのうち君にも分かる日が来るよ、もしくはもう感じてるんじゃないの?)」

「みゃ(・・・そうかもしれない・・・けどどう反応していいか分からない、どう返したらいいか分からない)」


 黒猫は戸惑う、先程から胸の奥に感じている、胸の奥がポヤポヤする様な、ポカポカする様な不思議な感覚。

 初めて自分に向けられた好意というものへの対応が分からない。


「にゃ〜?(名前を呼ばれたら返事してスリスリするだけでも、ヒナタは喜ぶよ?)」

「みゃ〜?(そんなことでいいんですか?)」

「にゃ(うん)」

「みゃ(そうなんですか・・・)」


 あまりにも簡単なことに黒猫はより分からなくなる。


 しかし、“キキョウ”は学んだ、名前の意味を、喜びを、初めての好意も、それへの接し方も。


 まだ学ぶことが沢山あるが今はこれでいい。


 窓から光が登ってくるのが見える。

 こうしてまた朝がくる。

 ヒナタも起きてくる、そしてこちらを見て言った


「おはよう、モコ、キキョウ」


 私の名前が呼ばれた・・・私の・・・名前


 呼ばれたら返事をすればいいんだっけと“キキョウ”が考える。


「にゃん!(おはよう!ヒナタ!)」

「みゃん(・・・おはようございます)」



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